JGTO青木功会長インタビュー 4期目も「目標は男子ゴルフの活性化」

[ 2022年4月15日 05:30 ]

男子ゴルフ界の世代交代について語る青木会長(撮影・西尾 大助)
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 男子ツアーを統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長(79)が4期目を迎えた。青木政権下の施策によりツアーは若手が台頭し、活性化も着実に進む。前週行われた国内開幕戦の東建ホームメイト・カップでは、優勝した香妻陣一朗(27)をはじめ、トップ10の日本選手全員が20代。世代交代の大きなうねりが起き始めている日本ツアー。今季の見どころと注目選手、JGTOのかじ取りなどを青木会長に聞いた。(大渕 英輔)

 ――国内開幕戦は若手の活躍が印象的だった。プレーオフで敗れた桂川有人は23歳、3位の星野陸也は25歳、4位の片岡尚之は24歳で5位の岩崎亜久竜も24歳。ベスト10に入った日本選手は20代ばかりだった。

 「そのほとんどが(下部の)ABEMAツアーでもまれてきた選手。ABEMAは生中継。成績が良い選手はインタビューにも呼ばれる。そこで話をすることで、自分が発する言葉にも重みが出てくる。活躍する選手は場慣れする。自分の気持ちを表に出すことにより、自信を持ってプレーできるようになる」

 ――ABEMAツアーの充実が若手の成長を促した。

 「コースセッティングも以前はレギュラーとは違っていた。今はセッティングアドバイザーを付けて、かなり整備した。中継が入ることでゴルフ場側のモチベーションも上がった。選手はハイレベルな環境でもまれ、レギュラーに来ても物おじしなくなった」

 ――昨年は20代の選手が16勝した。世代交代が進んだ印象だ。

 「以前は顔ぶれが変わるのに5、6年かかっていた。それが今は1年くらいでガラリと変わるようになった」

 ――変革期か?

 「若手が出てくればくるほど、上にいる選手は彼らが気になる。40代の選手は“えっ!?”と慌てるようになる。20代が気にしなくても、上の世代が勝手に気にして、若手がやりたいことができるようになる」

 ――その中で注目する選手は?

 「桂川は(1月の開幕戦の)シンガポールで2位に入った。岩崎や河本力はパワーがある。岩崎はまだ荒っぽいところもあるけど、絶対に出てくる。昨年のABEMAツアーで、残り250ヤードのラフから6Iでキャリーでグリーンに乗せてきたことがあった。それを見たときに“うちのツアーにも凄いのが出てきた”と思った」

 ――楽しみな若手が多い?

 「星野や香妻ももちろんその中に入る。大岩(龍一)もそうだ。昨年ABEMAツアーで3勝して、レギュラーでシードを獲った久常(涼)はレベルが違う。9月で20歳になるが、本人はそれまでにツアーで勝ちたいと言っている。あと、時松(隆光)と同じベースボールグリップの清水大成も注目している。他にも若くて良い選手が10人くらいいる」

 ――彼らに期待することは?

 「自分をアピールするアクションをもっと見せてほしい。“凄いアクションをするね”と言われるような選手がどんどん出てきてほしいな」

 ――逆に注文は?

 「常に上位に顔を出さないとダメ。初優勝した選手には必ず“次の試合が大事だぞ”と言っている。次の試合で優勝争いをして、はじめて1勝目が光る。昨年の日本ツアー選手権森ビル杯で木下(稜介)が初優勝したときも“次も勝ちにいくんだぞ”と言った。それから彼は2試合連続優勝した。逆に次の試合で予選落ちするようでは、すぐに忘れられてしまう」

 ――ツアーの大黒柱でもある石川遼への期待も大きいと思うが、開幕戦は残念ながら予選落ちだった。

 「遼は自分が求めるスイングのイメージが高すぎる印象。普段はそれでいいかもしれないが…。試合中はスイングのメカニカルなことばかりを考えないで、もっと自分のイメージだけで闘ってほしいと思う。遼の素質だったら、もっといい加減に考えても良い」

 ――今年は新規の大会が3つ増え、昨年から試合数が1増となった。

 「試合が増えればツアーもどんどん活性化する。最終的には30試合くらいまで増やしたい」

 ――今年、欧州との共催試合が予定されていたが、コロナ禍で来年に延期になった。実現すれば画期的な試合になりそうだ。

 「日本選手はおとなしいところがあるから最初は戸惑うかもしれない。でも、欧州の選手とプレーすることに慣れれば、海外に行っても力を発揮しやすくなる。そこから覚醒する選手が出てくれば、選手層も厚くなる」

 ――新選手会長に谷原秀人が就任した。選手会との連携は?

 「いろんな意味で進化していかなければならない。選手会との連携をさらに密にしていきたい」

 ――ファン開拓は?

 「谷原会長がトーナメントの練習日にギャラリーを入れたいという提案をしてきた。非常に良いアイデアだと思っている。できる試合から始めていきたい」

 ――ニックネームを募集する案もある。
 「呼びやすいニックネームがあると良いと思う」

 ――選手たちの社会貢献活動を周知する施策も行っている。

 「昨年から選手会と一緒に『Discover Your Green(ディスカバー・ユア・グリーン)』と名付けた活動を始めた。コロナ禍でどうすれば社会貢献ができるのか、自分たちの社会的存在意義を改めて考えようということでスタートした。米ツアーの選手にも協力してもらっている」

 ――4期目の“青木丸”のかじ取りは?

 「今回新しい理事にも入ってもらった。そうした方々と話し合って、方針を決めて進めていきたい。目標はこれまでと同じ男子ゴルフ界の活性化。自分にできるのはそれだけ」

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