若隆景、福島出身50年ぶりV 初代栃東「故郷の福島を活気づけてくれることを願っています」

[ 2022年3月28日 05:30 ]

大相撲春場所・千秋楽 ( 2022年3月27日    エディオンアリーナ大阪 )

初代栃東の志賀駿男さん
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 福島県出身者として53年夏場所の時津山、72年初場所の栃東以来3人目の幕内優勝力士となった若隆景。ちょうど半世紀前に故郷を沸かせた初代栃東(先代玉ノ井親方)の志賀駿男氏(77)が、同郷の後輩への思いを語った。

 若隆景にはずっと親近感を抱いていました。福島出身で同じ小兵。右を差して左からおっつける相撲は私と似たタイプ。ただ、彼は“足取りの名人”と呼ばれた祖父の若葉山さんに似ていて、足腰が強く前さばきもうまい。風貌もその現役時代をどことなくほうふつさせます。

 若葉山さんには、新弟子時代に相撲教習所で指導を受けました。私の師匠の春日野親方(元横綱・栃錦)にも勝ったことがあり、よく「頑張ってるか」と声を掛けてもらった。優しい親方でした。

 若隆景の優勝が故郷の福島を活気づけてくれることを願っています。まだ復興の途中なのに16日の地震では大きな被害を受けた所もある。私の出身地の相馬市の友人も「前は津波だったけど今回は揺れが凄かった。古い家はみんなやられた」と言っていました。

 そんな大変な状況にもかかわらず、変わらずに応援を続けてくれる故郷の方々の存在は励みになります。私の時は相馬の市長さんをはじめ、20~30人が国技館に駆けつけてくれました。若隆景も故郷の皆さんの声援に、恩返しをしようという気持ちだったでしょう。震災以降、福島出身の力士は誰もが、そう強く思っています。故郷というのは、かけがえのないものですから。(元関脇・初代栃東)

 ≪時津山以来19年ぶりの幕内優勝≫▽1972年初場所 1人横綱の北の富士が不振で13日目までに6敗を喫して14日目から休場。4大関も振るわず大混戦となった。12日目までは前頭8枚目の吉王山が単独トップ。14日目を終えて4敗で大関・琴桜、福の花、栃東の3人が首位で並んだ。千秋楽も福の花、琴桜が相次いで敗れ、結びの栃東が清国に敗れれば10勝5敗で8人が並ぶ可能性があったが、栃東が上手出し投げで大関を撃破。11勝4敗で福島県出身の力士として時津山以来、19年ぶりの幕内優勝を果たした。

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2022年3月28日のニュース