【玉ノ井親方 視点】琴ノ若はチャンスをものにしないとダメ 幕内に慣れ相撲に余裕が出てきた

[ 2022年3月20日 19:33 ]

大相撲春場所8日目 ( 2022年3月20日    エディオンアリーナ大阪 )

<春場所 中日>遠藤を押し出しで破る琴ノ若(右)(撮影・後藤 正志)
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 猛牛の孫らしい力強い相撲だった。相撲巧者の遠藤との一番。琴ノ若は立ち合いで素早く右を差し、相手が巻き替えにきたところを突き放して、一方的に押し出した。

 四つ身の技術を持っている遠藤は左四つの形になると、うまさを発揮する。体に柔らかさがあるので、琴ノ若にすれば、相手十分の形に組まれるとやっかい。そのため先に右を差して、遠藤の有利な形に持ち込まれるのを許さなかった。狙い通りの取口だった。

 猛牛と呼ばれた祖父の元横綱・琴桜さんは、強烈な突進力が持ち味だった。父の元関脇・琴ノ若さんは、右四つからの左上手投げが力強かった。琴ノ若は体つきは父に似ているが、上半身がもっと柔らかい感じがする。両四つで取れるし、突き放す相撲も取れる。押し込まれても回り込むのがうまく、相撲に器用さがある。

 再入幕から9場所目の今場所は、上の力士との対戦にも慣れ、取口に余裕が出てきたようにも見える。相撲内容も良い。

 中日を2敗で折り返し、このまま好調をキープできれば、後半戦は上位と当てられるだろう。与えられたチャンスは、ものにしないとダメ。前に出るのも良いし、組んでも良い。とにかく早く自分のパターンに持ち込んで、少しでも早く攻めることが大事だ。
(元大関・栃東)

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2022年3月20日のニュース