北京パラ開幕 ただ、全力を 選手たちの姿が訴えかけてくれる平和の尊さ

[ 2022年3月5日 05:30 ]

北京パラリンピック第1日 開会式 ( 2022年3月4日    国家体育場 )

北京冬季パラリンピックの開会式で、旗手の川除大輝(中央)を先頭に入場行進する日本選手団
Photo By 共同

 【北京パラリンピック開幕に寄せて 藤山健二】ウクライナで激しい戦闘が続く中、遠く離れた中国で北京パラリンピックが始まった。パラリンピックは、第2次世界大戦で脊髄を損傷した兵士たちのリハビリテーションとして、1948年にロンドンで開催された車いすのアーチェリー競技会が起源とされる。

 元々、軍人のためのリハビリ大会だったものが、多くの人たちの血のにじむような努力によって今では五輪と並ぶ平和の祭典になった。いや、なったはずだった。まさか74年後の今になって再び戦火が上がり、隣国へ侵略したロシアの選手団が大会から追放されることになるとは、先人たちもさぞ嘆いていることだろう。

 「スポーツと政治は別」とよく言われるが、戦争は政治のレベルをはるかに超えた犯罪、それも最悪の犯罪行為だ。いかなる理由があろうとも正当化はされない。スポーツによる制裁が少しでもロシア国民の心を動かし、戦争終結を早めることにつながるのなら、毅然(きぜん)とした対応をすべきである。

 参加する選手たちもいろいろと複雑な思いを抱いているに違いない。だが、いざ試合となったら何も余計なことは考えなくていい。ただ全力を尽くすだけでいい。

 フェアプレー精神を貫き、障がいを乗り越えてひたむきにプレーする選手たちの姿は、どんな言葉よりも重く、深く、全ての人々の心に「平和の尊さ」と「戦争の愚かさ」を訴えかけてくれるはずだ。(特別編集委員)

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