美帆「やったぜぇ」1000メートル五輪新で悲願の「金」船木超えた同一大会4個目メダル
北京五輪第14日 スピードスケート女子1000メートル ( 2022年2月17日 国家スピードスケート館 )
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今大会5種目に出場した日本選手団主将の高木美帆(27=日体大職)が女子1000メートルを1分13秒19の五輪新記録で制し、悲願の個人種目金メダルを手にした。3000メートル6位、1500メートル銀、500メートル銀、団体追い抜き銀で迎えた最終レースで優勝。冬季五輪同一大会のメダル4個は日本勢最多で、18年平昌五輪を含めた通算7個は競泳の北島康介、体操の内村航平らに並ぶ夏冬通算6位の快挙となった。
手を叩き、舌を出して両手を突き上げた。極限状態で迎えた最終レース。15組中13組で登場した高木美が五輪記録を0秒37更新した。「やったぜぇ」。2組を残していたが、右拳を何度も握り締めた。2位のオランダ選手に0秒64差をつけて優勝が決まると、涙が頬を伝う。年間300日超の合宿で苦楽をともにしたヨハン・デビット・コーチと長い抱擁。15歳で初出場した10年バンクーバー五輪で最下位に沈んだ種目で、悲願の個人種目金メダルを手にした。
「個人種目で初よりも、7レース目で獲れたことがうれしい。全て出し切り、悔いがないと思えるレースができた。金を獲れたことでうれしさ倍増。形になって残った」
13日間で7レース目。試合のない日は回復に時間を割き、開幕後に本番を想定した練習はできていない。夕方のレースが続く中、13日の500メートルだけは午後10時すぎに設定され、3度のメダルセレモニーは競技と別会場の極寒の屋外で夜開催。一定のリズムで生活することもできなかった。食欲が湧かず、エネルギー補給はゼリー頼み。メダリスト会見ではせきが止まらず「体は限界。内臓がギリギリだった」と明かした。
メダルを狙った最初の3000メートルで6位。4年前の5位を下回ったが、崩れなかった。大会を通して高いパフォーマンスを維持。ジュニア時代から種目を絞らずに並の選手の3倍近いレースをこなした。現在もW杯や国内大会で連日複数レースを滑ることは多い。「この局面で2周ならいけるという謎の自信があった。攻めていけたのは長い時間かけて滑ってきたものがあるから」。蓄積してきた経験が土壇場で生きた。
最終レースを前に銀が3個。この日朝に姉・菜那から「銀メダル4つでも快挙らしいよ」と声を掛けられ、肩の力が抜けた。仲間にも支えられ「大会を通して格好良くなかった部分もあった。弱くなってしまった部分もあった。でも最後まで挑みきるという点では格好良くあれたかな」と笑った。冬季五輪一大会最多となる4個のメダルは銀、銀、銀、金。最強オールラウンダーの五輪史に残る挑戦は最高の形でフィナーレを迎えた。
《北島、内村らに並ぶ7個目》高木美が1000メートルを制し、個人種目で初の金メダルを獲得した。これで五輪のメダル獲得数は冬夏通じて6位タイの7個。女子では柔道の谷亮子らの5個を大きく更新した。冬季大会に限れば、この日4個目を獲得したノルディック複合渡部暁斗を上回り男女を通じてトップ。今大会だけでも4個目で、98年長野大会ジャンプの船木和喜と18年平昌大会の自身を抜いて、1大会の単独最多となった。
【高木 美帆(たかぎ・みほ)】
☆生まれ、サイズなど 1994年(平6)5月22日、北海道幕別町生まれの27歳。家族は両親と兄、姉。身長1メートル64。血液型O。
☆競技歴 5歳でスケートを始める。15歳で出場した10年バンクーバー五輪は1500メートル23位、1000メートルは完走者で最下位の35位。14年ソチ五輪は代表選考会で落選した。18年平昌五輪は1000メートル銅、1500メートル銀、団体追い抜きで金メダルを獲得。女子1500メートルの世界記録を保持する。
☆他競技 幼少時代から運動神経抜群で陸上、水泳、サッカー、ヒップホップダンスなどに取り組んだ。小学6年時には陸上女子800メートルで、北海道・十勝地区の小学生記録を樹立。サッカーは15歳以下の女子日本代表候補に選出された実績を持つ。
☆メモ魔 常にメモ帳を携帯。気づいたことや人に言われたことなど、必要と感じたことは何でも書き留める。読書好きで、本屋巡りが趣味。幅広いジャンルに目を通し「スケートは生活の一部だから、大抵のジャンルが競技につながる」と競技力向上にも一役買っている。
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