【玉ノ井親方 視点】照ノ富士は攻め急ぎ過ぎた 左足を痛めていないか心配 御嶽海も良いところがなかった

[ 2022年1月20日 20:17 ]

大相撲初場所12日目 ( 2022年1月20日    両国国技館 )

<大相撲初場所12日目>肩透かしで明生(右)に敗れた照ノ富士は悔しそうな表情(撮影・西海健太郎)
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 照ノ富士は珍しく攻め急いで墓穴を掘った。相手の明生は2011年5月の技量審査場所で、ともに初土俵を踏んだ同期生。明生が自分と対戦する時は、他の力士と当たる時とは違う雰囲気でいつも向かってくるだけに、早く勝負をつけようと焦ったのだろうか。

 本来なら組み止めてじっくり取りたかった。だが、立ち合いで当たった後に、相手のさがりをつかんだだけで前に出ていってしまった。片手でさがりを握っているだけでは安定感がない。下がった明生にうまく右に回り込まれ、闘牛士にかわされた猛牛のようにブレーキが利かないまま土俵下まで飛び出してしまった。

 誰でも15日間、全ての相撲を完ぺきに取るのは難しい。魔が差したような形で負けるのはある意味、仕方がないだろう。ただ気になったのは、落ちた後に横綱が左足を気にするような様子を見せていたこと。もともと両膝に不安を抱え、無理が利く状態ではないだけに、杞憂(きゆう)であれば良いのだが。

 照ノ富士と1敗で並んでいた御嶽海も阿武咲に良いところなく敗れた。低い姿勢の相手に体を起こされ、反撃を試みるが、両足がそろって上体が前のめりになったところを引き落とされた。

 以前も指摘したが、今場所の御嶽海は足が前に出ず、時々そろってしまうことがある。そうなると、横に揺さぶられる相手には苦戦を余儀なくされてしまう。

 2人が敗れたことで平幕の阿炎が2敗で並んだ。阿炎は隆の勝に会心の相撲で勝った。馬力のある相手を突っ張って押し、さらに頭で当たって押し一方的な取口で俵の外へ突き出した。今場所は頭で当たることが多いが、この日も2回頭で押し込んでいた。押し相撲の理想のような一番だった。

 千秋楽まで残り3日。優勝争いはこの3人に絞られたと言っていいだろう。(元大関・栃東)

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2022年1月20日のニュース