女子テニス協会 中国での大会中止 安否懸念…彭帥への対応に不信感

[ 2021年12月3日 05:30 ]

中国の女子プロテニス選手、彭帥(ロイター)

 テニスの女子ツアーを統括する女子テニス協会(WTA)は1日、中国の元副首相に性的関係を強要されたと告白した同国選手、彭帥(ほうすい、35、写真)の安否が懸念される問題で、香港を含む中国での全ての大会の開催を見合わせると発表した。

 WTAは来年の大会日程を発表していないが、コロナ禍前の2019年には50以上のツアー大会(4大大会除く)のうち9大会が中国開催だった。年間成績上位選手によるツアー最終戦、WTAファイナルは30年まで中国・深センでの開催が決まっている。

 WTAのスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)は「中国の指導部は非常に深刻な問題に、信頼できる方法で対処していない」と非難。大会を開催しないことで経済的な打撃があっても、女性の人権に関する問題へ厳しい態度を取る姿勢を鮮明にした。

 中国側からは彭帥の無事を強調する情報が発信されているが、サイモン氏は「彼女の自由と安全、そして検閲や強制、脅迫を受けていないかどうかに重大な疑念を抱いている」と指摘。大会開催見合わせが2023年以降も続く可能性があるともしている。

 この決定を受け、WTAを創設した元名選手のビリー・ジーン・キングさん(78)は自身のツイッターで「WTAは選手を支え、歴史的に正しい側に立った」と支持表明。同じく元名選手のマルチナ・ナブラチロワさん(65)は「お金より原理を大切にした勇気ある姿勢」と称賛。一方、11月に彭帥とトーマス・バッハ会長がテレビ電話で話し、無事を確認したと発表した国際オリンピック委員会(IOC)に向け「どう思う?あなた方の声はほとんど聞こえないんだけど」と対応を求めた。

 北京五輪を控えたIOCは、中国側と歩調を合わせ疑念打ち消しに躍起。IOCのディック・パウンド委員は、2日までにCNNのインタビューに応じ、テレビ通話したIOC幹部らは一流選手と日常的に接触している経験から「(彭帥が)圧迫下にあるかどうか認識できた」と指摘。その上で「一致した結論が“無事”ということだった」と述べた。人権団体などからはIOCの対応に「無責任」との批判も上がる。

 WTAの対応はIOCと対照的で、北京五輪の「外交ボイコット」を議論する各国政府などの態度表明に与える影響も注目される。

 《IOC「我々も懸念」》WTAの決定を受け、11月21日にビデオ通話で彭の無事を確認したと発表していたIOCはこの日、「我々も彭帥さんの健康と安全について懸念を持っている。だからこそ、昨日(1日)にIOCのチームが彼女とビデオ通話をした」との声明を発表しアピールした。

 さらに「中国のスポーツ団体と直接、懸念に取り組んでいる。“静かな外交”を用いているが、これは人道的な問題を効果的に進めるための最も有望な手段だとされている」とし、IOCへの批判に反論。来年2月の北京冬季五輪を控え、IOCは中国側と歩調を合わせ疑念打ち消しに躍起になっていたが、態度を修正した。

 11月のビデオ通話ではバッハ会長が「困難な状況にもかかわらず、安全で元気そうに見えた」などと強調していた。

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