フェンシング・エペ団体金の見延に 所属先ネクサスが報奨金1億円「緊張とは違う体の震え」

[ 2021年8月11日 05:30 ]

報奨金1億円の目録を手に笑顔のフェンシング男子エペ団体で金メダルを獲得した見延和靖
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 東京五輪フェンシング男子エペ団体で日本勢として初の金メダルを獲得した見延和靖(34)が10日、群馬県高崎市で行われた所属先のネクサスの報告会に出席し、日本フェンシング協会の会長も務めた同社の星野敏代表(60)から報奨金1億円が渡された。事前に告知されず、サプライズでの贈呈で見延は体の震えが止まらなかった。

 その金額は驚き以外のなにものでもない。何も知らされていなかった見延は「緊張とは違う体の震えを感じている。無駄に使わず、活躍するとこんな夢があると後輩に伝えたい」と語った。

 18~19年のW杯など国際大会の個人で4勝を挙げ、日本勢初の世界ランキング1位に輝いた大黒柱。今大会は不調で男子エペ団体では1回戦だけの出場に終わった。それでもチーム最年長として、山田優(27=自衛隊)、宇山賢(29=三菱電機)、加納虹輝(23=JAL)の3人を鼓舞し続けた。優勝が決まるとピスト上で国旗を掲げ「大きな一歩を踏み出した歴史的な瞬間になったと思う」と人一倍、喜びをかみしめていた。

 リオデジャネイロ五輪は個人戦だけの出場で団体戦に強くこだわって5年間、練習を積んできた。男子エペ団体は見延を中心に強化を図り「じーんと感動させるチーム」という思いを込め「エペジーーン」を合言葉に戦った。2024年パリ五輪も目指す意向で「団体2連覇、個人でも金メダルで2冠を達成できるように頑張る」と、34歳になっても気力は衰えを知らない。

 同じ所属先で男子フルーレ個人と団体で4位だった敷根崇裕(23)は「(メダルを逃し)人生で一番悔しい思いを短期間で2度した。パリでは金メダルを獲って自分も同じ額をもらいたい」と雪辱を誓った。「1億円」のインパクトは絶大だ。後輩たちは見延が成し遂げた偉業を指標とし、パリ五輪へ思いをはせる。そして誰より3年後への思いが強いのは、見延自身である。

 ▽ネクサス株式会社 2004年に設立された群馬県高崎市に本社のあるパチンコホールチェーン。星野敏代表は法大在学中の83年、全日本フェンシング選手権大会男子フルーレ個人で優勝。ネクサスにもフェンシング部を創設し、ロンドン五輪銀メダリストの千田健太や淡路卓らを輩出した。14年4月から15年6月まで日本フェンシング協会会長も務めた。

 ◇見延 和靖(みのべ・かずやす)1987年(昭62)7月15日生まれ、福井県出身の34歳。福井・武生商高―法大。中学校ではバレーボールを経験した。ネクサス所属。15年エストニア大会優勝などW杯通算3勝、グランプリ通算2勝。16年リオデジャネイロ五輪男子エペ個人では日本勢最高の6位だった。1メートル77、75キロ。

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