MVPのアデトクンボは破顔一笑 敗れたポールは無念の表情 2人の大黒柱に明暗

[ 2021年7月21日 14:32 ]

優勝トロフィーとMVPトロフィーの2つを持って歓喜の表情を見せるG・アデトクンボ(AP)
Photo By AP

 NBAファイナルでMVPとなったバックスのヤニス・アデトクンボ(26)は「自分を信じてくれたミルウォーキーに感謝したい。チームメートはすべての試合でハードにプレーしたし、自分はこのチームを信じている。彼らとともに優勝できてとても幸せだ」と喜びを爆発させた。兄のタナシス・アデトクンボ(29)も優勝メンバー(コロナ感染防止規定で離脱中)。ギリシャからやってきた“アデトクンボ兄弟”にとっては忘れられない1日となった。

 ヤニスはホークスとの東地区決勝で左膝を負傷。一時は今季は絶望か?とまでささやかれた。しかし第5戦と第6戦でバックスはレギュラーシーズンで過去2回MVPとなっている大黒柱抜きで123―112、118―107と連勝してシリーズを制覇。この粘りがファイナルでの0勝2敗からの逆転優勝にもつながった。

 2015年のドラフトでは全体15番目の指名。そのとき全体トップでキャバリアーズに指名されたアンソニー・ベネット(28)はすでにNBAにはいない。デビューしたばかりのヤニスはまだスキルが未熟でバックドアターンやユーロステップをうまくこなせず、プルアップからのジャンプシュートや3点シュートをNBAレベルで打てなかった。

 球宴に選出されたのは4季目になってから。しかし2018年と2019年シーズンにMVPとなり、今季の球宴と今回のファイナルを含めて“MVP”という名前のタイトルを獲得したのは4回を数えた。

 前日の会見では「もしこの勝負に負けたら世界の終わりのように感じるかもしれない」と語っていたが、第6戦では成功率が55・6%にまで低下していたフリースローを19本中17本を成功。「フリースローはちゃんと打てないと言われてきたけれど、きょうはしっかりやってのけた。まさにチャンピオンだね」と、年俸2753万ドル(約30億円)を稼ぐまでに成長したバックスの大黒柱は、トロフィーを手にしてとびきりの笑顔を見せていた。

 一方、昨季まで6年連続で負け越していた弱小チームを移籍1年目でファイナルにまで導いたサンズのクリス・ポール(36)は敗戦が決まるとすぐにロッカールームに直行。NBA16季目で初めてファイナルにまで駒を進めてきたが悲願の優勝は達成できなかった。

 「いい仲間に恵まれて、いいシーズンを送ることができた。我々がこの場にいることを開幕前には誰も予想できなかっただろう。でもロッカールームにいるみんなは十分やった、と思わないでほしい。十分じゃないんだ」と会見での表情はきびしく、あと1歩およばなかった戦い方を悔やんでいた。

続きを表示

2021年7月21日のニュース