試合中に全観客に退席命令 テニスの全仏オープンで珍事 ジョコビッチ困惑

[ 2021年6月10日 10:01 ]

ジョコビッチ対ベレッティーニの試合中に退席を指示される観客たち(AP)
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 テニスの全仏オープンで第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と第9シードのマテオ・ベレッティーニ(イタリア)が対戦した9日の男子準々決勝では、試合途中でジェームズ・キオサボング主審がスタンドにいたすべての観客に対して退席を促すという異例の事態となった。

 新型コロナウイルス感染防止のための外出制限令がその理由。フランスでは制限が緩和され、外出制限の開始時刻は午後9時から午後11時となり、スポーツ施設の観客数も1000人から5000人に許容範囲が広げられたが、ジョコビッチ対ベレッティーニの一戦は第4セットに入ったところで午後11時の“門限”が迫っていた。AP通信によれば、やむなく同主審は午後10時半に観客に対して10時45分までに退席するようにアナウンス。これに対して詰めかけた観客からは「金は払ったんだ」「動かないぞ」「詐欺だ」といった野次が飛び交い会場は一時騒然となった。

 両選手はいったん控室に戻り、試合は22分ほど中断。そして退席が完了し、歓声が途絶えた午後11時15分に試合は再開され、結局ジョコビッチが6―3、6―2、6―7(5―7)、7―5で勝ってグランドスラムでは通算40回目のベスト4進出を果たした。

 2月の全豪オープンでも同じことを経験しているジョコビッチは「前もって主審にはこうなるかもしれないとは言われていた。いったんコートを去るのは気にならなかったが、中断をはさんで気持ちをリセットするのにはちょっと時間がかかった。ファンと大会そのものには不運だった」と困惑気味。敗れたベレッティーニは「テニスより大事なことがあるのはわかるが個人的には避けてほしかった。流れをつかみかけていたので残念」と語って歓声の消えたコートを去っていった。

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