止まらぬ五輪強行姿勢…政府よ、もっと真摯に国民の声に耳傾けて

[ 2021年5月26日 06:00 ]

日本への渡航警戒レベル引き上げで、五輪参加に暗雲が漂う米選手団
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 【記者の目】米国務省が日本への渡航中止を勧告しながら、五輪委は予定通りに選手を送るという。一見、矛盾した対応のように見えるが、選手に参加断念を強要すれば反発は必至で、五輪委としてはそう言うしかなかったのだろう。

 80年のモスクワ五輪をボイコットした米政府も同盟国を相手に事を構えるつもりはなく、他の国も同様だ。もちろん、だからと言って日本の言う「安心安全」を真に受けているわけではなく、日本が自ら中止を決めるのを待っていると考えれば筋は通る。

 ところが国内世論の大半が中止または再延期を求めているにもかかわらず、IOCも政府も依然として聞く耳を持たない。コロナ下で五輪を開く意義も、「安心安全」の根拠も示せないまま、強引に開催に突き進む今の姿からは、もはや国民の理解を得ることは諦めたような傲慢(ごうまん)さすら感じる。

 このまま無事に五輪が開催できたとしても、若者を中心に広がった五輪離れは簡単には修復できないだろう。結局は自分たちにはね返ってくるということがなぜ分からないのか。今からでも遅くはない。もっと国民の声に真摯(しんし)に耳を傾けるべきである。(編集委員・藤山 健二)

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2021年5月26日のニュース