パラ金メダリスト・秋山里奈さん聖火ランナー辞退 コロナ収束見えず「命を最優先するべき」

[ 2021年3月10日 05:30 ]

ロンドンパラリンピック競泳女子100メートル背泳ぎ金メダルの秋山里奈さん(共同)
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 東京五輪の聖火ランナーを辞退したパラリンピック競泳金メダリストの秋山里奈さん(33)が9日、共同通信の取材に応じ「新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見えない中で、聖火リレーや五輪、パラリンピックを実施することに疑問がある」と辞退に至った理由を説明した。

 秋山さんは緊急事態宣言が継続、ワクチンの接種も進んでいない現状を憂慮し「聖火リレーや大会でクラスター(感染者集団)が発生し感染が拡大する危険性が残る。命を最優先するべきだ」と強調。東京五輪・パラリンピックの開催については「安心して日常生活を送れるようになってからでいいのではないか。やるなら早く対策の公表を、やれないのならその決断を一日でも早くするのが選手のためだ」と訴えた。

 秋山さん自身も、アテネ大会で銀メダルを獲得した背泳ぎが、次の北京大会で実施されなかった経験がある。「目標を失う苦しみやつらさは凄く分かる。金メダリストとして大会開催に疑問を呈していいのか悩んだ上で意思表明した」と打ち明けた。秋山さんはパラ3大会に出場。出身地の神奈川県伊勢原市内を聖火ランナーとして走る予定だった。

 ◆秋山 里奈(あきやま・りな)1987年(昭62)11月26日生まれ、神奈川県伊勢原市出身の33歳。生まれつき全盲。3歳から水泳を始める。女子競泳100メートル背泳ぎ(視覚障がい)で04年アテネパラリンピック銀メダル、12年ロンドン大会で金メダルを獲得。08年北京大会にも出場した。ロンドン大会後、現役引退。

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