五輪組織委 菅政権介入で川淵会長消滅…後任は橋本五輪相最有力、ドタバタ真相は

[ 2021年2月13日 05:30 ]

首相官邸に入る橋本五輪相=12日午前
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 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は12日、理事会と評議員会の合同懇談会に出席し、女性蔑視発言の責任を取り、辞任を表明した。後継として橋本聖子五輪相(56)が最有力候補として浮上。前日11日に森氏からの後継指名を受諾する考えを示していた日本サッカー協会元会長で選手村村長の川淵三郎氏(84)は辞退する意向を示し、ご破算に。一転して白紙となったドタバタ劇の真相は――。

 森氏は懇談会の冒頭で「不適切な発言が原因で大変混乱させた。ご迷惑を掛け申し訳ない」と陳謝し辞任を表明した。後任と目された川淵氏は「白紙に戻し、辞退する」と思いを語った。

 電撃的な白紙撤回の裏には何があったのか。世界も注視する後任人事。森氏辞任不可避の流れが強まっていく中で、2つの案がそれぞれの思惑も絡みながら進んでいた。

 森―川淵会談が決まったのは10日。川淵氏と気脈を通じている森氏サイドからの求めだった。川淵氏は家族の反対があったことから後任要請は断るつもりだったが「最初から外堀が埋まっていた」(川淵氏)。10、11両日の動きは森流根回しで水面下で進められなくてはならないものだったが、川淵氏は集まった記者団に受諾の意思を明かすとともに“森相談役”人事にまで言及。これが密室批判を呼ぶことになった。

 一方、積極的に問題解決の姿勢を示してこなかった菅義偉首相の意中の人は橋本氏だった。女性蔑視発言で批判が高まる中「若さ」「女性」「アスリート経験」を重視。女性活躍担当と内閣府特命担当大臣(男女共同参画)を兼務している橋本氏はうってつけの人材だ。

 官邸の命を受け橋本氏への打診に動いたのは、組織委の遠藤利明副会長。「川淵氏との関係性もよくない」(関係者)という遠藤氏の動きを察知した森氏は激怒したとされ、辞意表明をする合同懇談会を前にした10、11両日に既成事実化に動いたといえる。川淵案が浮上した際、菅氏が水面下で森氏に「もっと若い人を」「女性はいないか」と要請していたことも明らかになっている。

 11日の段階で政府内からは「問題発言で追われる人間による後継指名などあり得ない」と懸念する声も上がっていたが、首相のGOサインも出て“川淵会長”で一度は固まった。しかし、一夜明けると、野党ばかりか、与党内からも密室批判が高まる事態に。

 スポンサー離れや国際世論の批判が懸念され、菅官邸は方針転換。当初案の“橋本会長”にかじを切った。“川淵会長”では五輪開催自体が危ぶまれることも考えられた。「森氏と一体」とみられることを警戒しており、密室批判が官邸に向けられることは避けねばならなかった。橋本氏で決着する場合、会長と閣僚の兼務はガバナンスの面から問題となるため、五輪相を辞める必要がある。政治的中立性の観点から自民党の離党を求められることもありそうだ。

 加藤勝信官房長官はこの日の会見で、後任人事に関し政府の関与の有無については言及を避けた。野党から繰り返し森氏に辞任を促すよう求められても「組織委は独立した組織」と一貫して消極姿勢だった首相。それが手のひら返しのように後任人事で政治介入。官邸主導は問題視される可能性があり、まだまだ一波乱ありそうだ。

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