天理大の日本一 “叩き上げの星”市川が導く!絶好のワセダ相手「無名の高校からでも、努力すれば」

[ 2021年1月11日 05:30 ]

天理大・市川敬太
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 全国大学ラグビー選手権が11日に都内の国立競技場(午後1時15分キックオフ)で行われる。初優勝と関西勢36大会ぶりの日本一がかかる天理大は10日、都内で調整。“叩き上げの星”CTB市川敬太(4年)は、連覇を狙うエリート軍団の早大への雪辱に燃えている。

 CTB市川は天理大を象徴する選手だ。大阪・日新高では、「強豪校に一方的にやられるチーム」で花園出場なし。身長は1メートル72。“小柄な無名選手”が大学で力を付け、留学生の力と融合して活躍する姿は、黒子軍団におけるサクセスストーリーになっている。

 「無名の高校からでも、努力すればできる。特に母校には、そういう姿を見せたい」

 対する早大は、花園で勝ち進んだ有名選手が大半だ。市川の根底にはエリート軍団への反骨心がある。さらに昨年準決勝で大敗(14―52)したことでワセダへの対抗意識が増幅した。苦い思い出だ。将来の日本代表が期待されるCTB中野将伍(サントリー)にこてんぱんにやられた。

 「いいタックルが入っても全部オフロードパスでつながれた。顔を上げたら、トライを取られていた」

 体の強化が必要なのは明白だった。幸い、同僚にサンウルブズで南半球最高峰リーグを経験したCTBフィフィタがいた。「とにかくスピードを上げろ、と」。世界の視点を参考に、コロナ禍でも速さにこだわった筋トレをした。例えばスクワット。3年生までは重さにこだわって170キロをフルパワーで上げていたが、今季は120キロに下げて瞬発力で上げるようにした。

 2日の準決勝・明大戦。公称「50メートル6秒5」以上のスピード感でガンガン当たり、何度も壁をこじ開けた。守りでもタックルを次々決めた。大柄な紫紺軍団を苦しめる様子は、さながら一寸法師の鬼退治。「ラグビーにおいてスピードが一番大事と思った」。スピードがパワーに勝ることを証明した。

 関西勢36大会ぶり栄冠、初の日本一へ「とにかく勝ちたい」。“小柄な無名選手”が主役になる番だ。

 ◆市川 敬太(いちかわ・けいた)1998年(平10)10月10日生まれ、大阪府東大阪市出身の22歳。英田中でラグビーを始め、「中学も高校も1、2年の頃は、次ではラグビーをしないと思っていた」と言いつつも、大阪・日新高を経て天理大へ。3年からメンバー入り。50メートル6秒5。1メートル72、85キロ。

 《雑草VSエリート“対照的”な布陣》9日発表のメンバーで早大は15人中9人が花園8強以上を経験。高校日本代表は6人いる。花園V&高校日本代表のスーパー1年生伊藤が控えに回っても豪華な布陣だ。対する天理大は、花園8強以上が4人、高校日本代表経験者が3人。1度も全国高校大会に出場したことがない高校出身者も4人(小鍛治、松永、松岡、市川)いる。早大はゼロだ。対照的なメンバー構成になっている。

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