【岡崎真の目】新境地に入った羽生、顔でも演技「パーフェクトと言っていい」

[ 2020年12月27日 05:30 ]

フィギュアスケート 全日本選手権第2日 ( 2020年12月26日    長野市ビッグハット )

男子フリー、力強い演技を見せる羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 羽生の演技には全くマイナス要素が見当たらなかった。スピンとステップでレベルの取りこぼしはあったものの、全体としては全く非の打ちどころのないパーフェクトと言っていいだろう。

 ジャンプもいい意味で特筆すべきものがなかった。普通は1つぐらいは軸が傾いたり詰まったような感じになるものだが、今回はそれも一切なし。どのジャンプも突出していて、GOE(出来栄え評価)が高いのも当然だった。

 見ていて感じたのは顔の演技の素晴らしさだ。SPの時は笑顔で「皆さんもこれから楽しんでください」というように見えたが、今回は音の強い冒頭では精悍(せいかん)で戦士のような力強い表情、ステップのところで音の雰囲気が変わるとそれに合わせてまた表情が変わった。体を使って演技するだけではなく、顔でも演技をしているような感じで、何か新境地に入ったのではないかという印象を受けた。

 どちらも和の雰囲気なので昨年までの「SEIMEI」と比べられがちだが、キャラクターは違うし、彼自身が違うものを演じようとしているのも感じられた。このプログラムはとても緩急がきいている。要素が続くところがあったと思うと逆に凄くゆったりしているところもあって、凄くメリハリがある。初めての試合なのにもう完全に掌握しているような印象を受けたほどで、彼自身にとっても大きな自信になったに違いない。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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