貴景勝 2度目の賜杯!番付“孤独”でも「一人じゃ優勝できない」婚約者らの支えに感謝

[ 2020年11月23日 05:30 ]

大相撲11月場所千秋楽 ( 2020年11月22日    両国国技館 )

【大相撲11月場所】幕内優勝を果たし、賜杯を手に笑顔を見せる貴景勝
Photo By 代表撮影

 大関・貴景勝が13勝2敗で並んだ元大関で小結の照ノ富士との優勝決定戦を押し出しで制し、18年九州場所以来2度目の優勝を飾った。大関の制覇は17年初場所の稀勢の里以来で、貴景勝は初めて。一人大関の責任を果たした貴景勝は、来年の初場所(1月10日初日、両国国技館)で初の綱獲りに挑む。

 優勝決定戦を制した貴景勝が涙をこらえ唇を震わせた。2年ぶりの優勝インタビューでは苦悩の時期が思い浮かぶ。「大関に上がってから、あまりいいことなくて」。膝のじん帯損傷、左大胸筋損傷…。壁を乗り越え、賜杯を抱き「精神的にも、もうひと踏ん張りしないといけないと思っていた。こういう結果で終われたことを本当にうれしく思う」と実感を込めた。

 本割は照ノ富士に浴びせ倒され背中が砂まみれになった。「情けなさと悔しさ」が胸に込み上げてきたが、決定戦に向けては「何も考えなかった」と無心になった。「脳の指令で体は動くが、初めて脳を止めて体に任せた」。立ち合いで相手を後退させて2発で土俵際に追い込むと、俵に詰まった元大関が長い腕を伸ばして上手を取りにきたが、一気に押し込み土俵下へ押し出した。

 場所前に白鵬と鶴竜の2横綱が休場すると、3日目に朝乃山、5日目には新大関・正代までもケガで消えて一人大関になった。重圧を背負う中、「踏ん張らないといけないと思った。自分が」と心を奮い立たせた。

 「きついですよ」。今場所前には恩師の埼玉栄高相撲部の山田道紀監督に一言だけ漏らしたという。弱気な心に同監督からは「平常心。一点集中。運命は決まっている」の言葉が贈られた。もう一度、身上である突き、押しを信じ、重圧に耐え抜いた。

 8月30日には06年に他界した元大関・北天佑の次女、千葉有希奈さん(28)との婚約を発表。食事面でも支えてもらい「自分一人じゃ優勝できない。本当に自分を応援してくれたり支えてくれた人の期待に応えたことが本当にうれしい。応援して良かったと思ってもらえたのが自分の原動力」と感謝した。そして周囲も期待する綱獲りに初めて挑む。夢に見た最高位へ「もっともっと頑張らないといけない」と言葉に力を込めた。 

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)貴景勝はやっぱりかけたね。照ノ富士が立ち合いで変わってこないことに。最後、開き直れた。今場所は横綱、大関が休場し一人大関になったが、よく辛抱した。立派ですよ。精神的にも相当疲れたと思いますよ。コロナ禍にもかかわらず、国技館に来てくれたお客さんのために、これだけの相撲を取ってくれた。本当にいい大関だね。照ノ富士も頑張ってくれた。2人ともよくやってくれた。

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