原英莉花、メジャー初V 通算16アンダー4差のまま逃げ切り 黄金世代で奈紗、渋野に続き3人目

[ 2020年10月5日 05:30 ]

女子ゴルフツアー 日本女子オープン最終日 ( 2020年10月4日    福岡 ザ・クラシックGC=6761ヤード、パー72 )

優勝カップを手に笑顔の原英莉花(撮影・中村 達也)
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 4打差首位から出た「黄金世代」の原英莉花(21=日本通運)が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算16アンダーで今季初優勝をメジャー初制覇で飾った。最終組で回った同世代の小祝さくら(22=ニトリ)らを寄せつけず、待望のプロ通算2勝目。アマチュア時代は無名だった“雑草”が、畑岡奈紗(21=アビームコンサルティング)、渋野日向子(21=サントリー)に続く、世代3人目のメジャータイトルを手にした。

 ウイニングパットを沈めた原は口角を少し上げ、控えめに両手を上げた。無観客開催。本来であれば大歓声が湧き起こった18番グリーンで、21歳はタイトルの重みを静かにかみしめていた。

 「本当にしびれる戦いで、集中力マックスにしないと、体がブルっちゃう感じでした。日本女子オープンは憧れの舞台。後になってから、メジャーを勝ったって感じるのかな」

 負けん気に火がついたのは、4打差で迎えた11番パー4。小祝が2打目を30センチにつけた瞬間だった。「私も寄る!」。105ヤードの第2打を50センチに寄せ返し、お互いバーディー。続く12番も共にバーディーとした。決着は13番。パーの小祝に対し、グリーン左手前のエッジからのチップインバーディーを奪った。スタート時の4打リードを、一度も縮めさせなかった。

 身長1メートル73の恵まれた体格に、華やかなルックス。今やツアーを代表する選手だが、歩んだ道のりはエリート街道ではなかった。日本一を決める今大会。中学時代には友人たちが予選会に挑戦する中、出場すら2度諦めた。「私の実力じゃ無理だと思った」。初挑戦は高校2年になった15年。「まぐれで」本戦への出場権を得たものの、予選落ち。「こんなところで、勝てるのかな」と打ちのめされた。

 同世代の勝みなみや畑岡奈紗が次々とアマチュア優勝。黄金世代と呼ばれ始める中、「私は下から“すげえ”って見ていた」。進化のきっかけは尾崎将司への弟子入りだ。尾崎がゴルフ場で実戦練習を積む際、度々パートナーとして声をかけてもらった。常に全長7000ヤード近いコースでプレーした。男子並みの距離で身につけたスケールの大きなゴルフ。それこそ圧倒的な飛距離でツアーを席巻してきたレジェンドから継承された帝王学だった。今大会は国内ツアー史上最長6761ヤードだったが、原にとっては難題ではなかった。

 昨年6月に黄金世代7人目となるツアー初V。師匠から「大事なのは2勝目」と言われ続け、つかんだ日本一の称号。3年の複数年シードを獲得し、「やっぱり海外で戦いたい」と目標とする海外ツアー挑戦も視野に入れた。遅咲きの大器は言う。「練習して強い気持ちを持っていれば上には来られると思えた。強い選手でいたい」その表情は、もう誰かをうらやむのではなく、周囲にうらやまれるような自信に満ちあふれていた。 

【黄金世代のメジャーV】
 ☆16年日本女子オープン 最終日に4打差の5位から出た畑岡奈紗(当時アマ)が逆転制覇。史上初のアマ制覇に加え、17歳263日での史上最年少メジャー制覇。

 ☆17年日本女子オープン プロとして臨んだ畑岡がメジャー記録となる通算20アンダーで2位に8打差をつけて圧勝。樋口久子以来40年ぶりの大会2連覇。

 ☆19年ワールドレディース・サロンパス・カップ プロ1年目の渋野日向子が大会最年少20歳178日で優勝。ツアー初優勝をメジャー制覇で飾る。

 ☆同日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯 2日目に首位に立った畑岡が2位に8打差をつける圧勝。史上最年少20歳245日でのメジャー3勝目到達。

 ☆同日本女子オープン 畑岡が2位に4打差をつけてメジャー4勝目。日本人選手としては10年ぶりのメジャー連勝。

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