渋野“全英連覇への道”――羽川豊が難コース解説 アイアンは畳一畳ほどのスペース狙える精度必要

[ 2020年8月18日 07:00 ]

今年の全英女子オープンの舞台となるロイヤルトルーンGC(撮影・2016年8月)
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 女子ゴルフの海外メジャー初戦、AIG全英女子オープンが20日にスコットランドのロイヤルトルーンGCで開幕する。日本からは大会連覇を目指す渋野日向子(21=サントリー)ら7人が出場。昨季は日本に近い林間コースだったが、今年は予選落ちしたスコットランド・オープンと同様のリンクスで開催。難コースの特徴、ポイントをプロゴルファー・羽川豊(62)が解説した。また、予選ラウンドの組み合わせが17日に発表され、渋野は世界ランク7位のブルック・ヘンダーソン(22=カナダ)らと同組となった。

 ロイヤルトルーンは全英シニアオープンでプレーし、テレビの解説でも回った経験がある。08年のシニアオープンの時は予選こそ通ったものの、スコアを伸ばせず66位に終わった。風がなければある程度、スコアはつくれる。だが、風が吹いた瞬間に全く違うコースに変わる印象だ。前半のアウトは右から、後半のインは左から海風が吹いてくる。それがアゲンストにもなるし、フォローにもなる。

 コースの至る所にある、深いポットバンカーもやっかいだ。前週のスコットランド・オープンの会場は78個だったが、トルーンのバンカーは全部で90個以上。同じリンクスといってもティーショットは10倍の精度が必要だ。特に8番パー3は114ヤードと短いが、高い球になって滞空時間が長くなる分だけ風の影響を受けやすい。フォローの風でグリーンをこぼれるとバンカーの縁で止まり、横に打つか、後ろに出すしか逃げ道がなくなる。後半の11番はブッシュ越えのティーショットとなり、ブラインドで着地点が見えない。ヤーデージ以上に長く感じるホールで、向かい風になった場合はどうしようもない。

 日本や米国のコースは距離を延ばしたり池を絡ませたりするところが多く、高い球で上から落として攻めるのが一般的。しかし、英国のリンクスは風がありブッシュもあって、手前から転がして攻略するイメージだ。日本から挑戦する選手は、今までと同じ考え方では対応できない。距離よりも精度。アイアンショットは畳1畳ほどのスペースを狙い、なおかつマウンドをどう利用するか、計算して打たなければならない。そこにさらに風が絡むわけだから、調子が悪い選手は、もう回りたくないと思ってしまうのではないか。

 100%のショットを打ってもピンのそばに行かなかったり、グリーンに乗らなかったり思い通りにいかないのがリンクス。渋野選手はディフェンディングチャンピオンだと気負わずに、今のベストを尽くす気持ちで回る方がいいだろう。(プロゴルファー)

 ▽ロイヤルトルーンGC 英国のスコットランド南西部に位置するトルーンにあるリンクス。1878年に設立され、1888年に最初のコースが完成した。1923年に初めて全英オープンの会場となり、2016年までに9回開催。1982年大会では倉本昌弘(現日本プロゴルフ協会会長)が日本人最高順位となる4位に入った。全英アマチュア、全英女子アマチュア、全英シニアオープンなどの開催実績はあるが、全英女子オープンの開催は今回が初めて。

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