【玉ノ井親方 視点】勝敗を分けた上手の位置 復調した照ノ富士 工夫が足りなかった朝乃山

[ 2020年7月31日 20:42 ]

<大相撲7月場所13日目>朝乃山(右)を寄り切りで破る照ノ富士(撮影・郡司 修)
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 朝乃山の敗因は、左上手を取った位置が深かったことだろう。照ノ富士とは右の相四つ。立ち合いすぐに右を差すことができたが、相手は体が大きく懐も深い。組んだところで左上手が伸びる感じになり、照ノ富士に右肘を器用に使われ、上手を切られてしまった。その後、下手投げで形勢逆転を狙ったが、腕力のある照ノ富士の引き付けに上体が浮いて、そのまま寄り切られてしまった。

 照ノ富士は肘を張って、取られたまわしを切るのがうまい。これだけの相撲が取れれば、完全に復調したと言ってもいいだろう。一方の朝乃山は右を差したタイミングで横に振ったり、相手の上手を切るなどの工夫が足りなかった。ただ、まだ残り2日ある。1差でくらいついていけば逆転の可能性は十分ある。

 休場した白鵬は右ヒザに違和感を抱えながら12日目まで無理をして取っていたのだろう。終盤戦は疲れも出てくる。場所前の稽古の貯金が少なかったことも響いたのだろう。ただ、ケガを治してもう一度しっかり稽古を積めば、また違った横綱の相撲を見せられるようになるはずだ。(元大関・栃東)

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2020年7月31日のニュース