バド躍進支えた!味の素提供の“勝ち鍋” 世界選手権連覇の桃田&ナガマツ組パワー源

[ 2020年5月20日 05:30 ]

2019年世界選手権決勝前夜に提供された鍋(味の素提供)※写真では豚肉が使われていますが、実際に提供されたのは鶏肉です
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 昨年の世界選手権(スイス・バーゼル)で、男子シングルスの桃田賢斗(25=NTT東日本)と女子ダブルスの永原和可那(24)、松本麻佑(24)組(北都銀行)が2連覇するなど、大躍進を見せたバドミントン日本代表。戦い続ける選手たちを支えたのは、味の素が毎夜提供する“勝ち飯”鍋料理だった。決勝前夜のレシピに焦点を当て、ディレクターの上野祐輝さん(35)が強さの秘訣(ひけつ)を明かした。

 昨夏の世界選手権の日本勢は圧倒的だった。男子シングルスの桃田は全6試合ストレートの完全制圧で2連覇を達成。女子ダブルス決勝ではナガマツ組と福島由紀、広田彩花組の日本人対決が行われ、最終ゲームまでもつれ込む激闘の末にナガマツ組が勝利を収めた。1週間のハードな試合日程の中でパワーの源には、毎夜提供される「鍋」が一役買っている。上野さんは「鍋は具材を自由に入れられて、必要な栄養素をしっかり取れる」と話した。

 決勝戦の前夜に提供されたのは「ちゃんぽん風濃厚白湯(ぱいたん)鍋」。決勝で力を発揮させるためのエネルギー補給として、一般的な鍋では通常入れないジャガイモをメインに使用している。また疲弊した体をいたわるための緑黄色野菜と脂質の少ない鶏もも肉、そして「ちゃんぽんと言えば、エビを入れないと」ということでエビが採用されている。2日連続で同じ食材を使わず、切り方も変えており「いろいろなものを食べてもらえるよう、選手たちが飽きないよう工夫をしています」と語った。

 17年の世界選手権で同社のサポートが本格化するまでは、夜にインスタントラーメンを食べる選手もおり、必要な栄養素をしっかり取ることができていなかった。そこで上野さんは鍋を提案。選手たちは試合中のスタミナ切れや胃もたれを感じることがなくなり、効力を実感したという。現在では世界選手権中の1週間、毎夜鍋を食すことが習慣づいている。「おいしく、簡単に、正しく栄養素を取ってほしい」。そんな願いが込められた“勝ち飯”の成果は、結果として表れている。

 【レシピ】(1)皮を除いた鶏もも肉(80グラム)をひと口大、ジャガイモ(1個半)を薄い輪切りに切る。白菜(4枚)はざく切りにする。

 (2)鍋に油を熱し、鶏肉を入れて炒める。色が変わったらジャガイモ、白菜、むきエビ(6個)を加えて炒め合わせる。

 (3)水(500ミリリットル)と鍋キューブの濃厚白湯味(1個)を加え、具材に火が通るまでひと煮立ちさせて完成。
※試合期間中の選手が食べる分量(通常の1.4人分)のため、家庭で作る際には分量の調整が必要。

 ≪ステイホーム“脂質抑えてタンパク質取ろう!!”≫「味の素」で管理栄養士を務める水柿亜実さん(31)が外出自粛要請が続き活動量が下がる状況で一般向けの食事のポイントを教えてくれた。食材と調理法を工夫して「エネルギーを取りすぎない」「免疫を上げるためビタミンA、C、Dを豊富に含む緑黄色野菜を取る」ことが重要。豚肉なら豚バラより豚もも、砂糖の代わりに低カロリー甘味料パルスイートを選ぶなどしてカロリーを抑え、「炒める」「揚げる」ではなく「ゆでる」「蒸す」ことで脂質をカット。緑黄色野菜を手軽に取れる汁物の活用も有効だという。

 水柿さんは「脂質を抑えてタンパク質を取るアスリートの食事のコンセプトは今の一般の方に合う」と説明。栄養面でサポートしているフィギュアスケートの羽生結弦(25=ANA)、競泳の瀬戸大也(25=ANA)のイチ推しメニューも紹介してくれた。豚汁など汁物系を好む羽生は「白菜と豚肉の重ね鍋」、ガッツリ系が好みの瀬戸は「ガリバタ鶏」が好物。ともに同社公式サイト「レシピ大百科」でレシピを公開している。

 ▽味の素ビクトリープロジェクト 味の素が03年から開始。日本代表選手およびその候補選手を対象とし、競技力向上のために食を通じて選手をサポートしている。提供される食事は“勝ち飯”と呼ばれ、バドミントンや競泳の他、空手・組手女子68キロ超級の植草歩やパラ陸上男子走り幅跳びの山本篤など、幅広い選手たちのコンディショニングをサポートしている。

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