28歳力士・勝武士さん コロナで死去…国内最年少、日本の現役アスリート初の犠牲者

[ 2020年5月14日 05:30 ]

死去した高田川部屋の勝武士さん
Photo By 共同

 日本相撲協会は13日、新型コロナウイルス感染のため4月8日から入院していた高田川部屋の三段目力士・勝武士(本名・末武清孝)さんが、同日午前0時30分、新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため死去したことを発表した。28歳だった。新型コロナ感染での死者は日本の現役アスリートでは初。国内の20代以下の死亡は年齢が明らかになった中では初とみられる。

 28歳の早すぎる死に衝撃が走った。

 日本相撲協会によると、4月4日ごろから38度台の発熱があり、師匠の高田川親方(元関脇・安芸乃島)らが保健所や複数の病院に連絡したが受け入れ先が見つからなかった。血痰(けったん)があった同8日夜に都内の大学病院に入院し、翌日に転院。10日にPCR検査で陽性が確認されると19日に病状が悪化し、集中治療室で治療していた。

 勝武士さんは14年ごろから糖尿病を患った。16年初場所では取組直前に低血糖障害の症状で不戦敗になるなど、新型コロナ感染症が重症化するリスクの高い基礎疾患があった。インスリン注射も欠かすことがなく、複数の力士から「勝武士は糖尿病だから危ないのでは」と心配の声も出ていたが、その悪い予感は当たってしまった。

 持病を抱えながらの土俵だったが「一度だけの人生だから、体がぼろぼろになるまで燃え尽きたい」と幕下を目標に稽古を積んできた。3月の春場所は3勝3敗で迎えた7番相撲で負け越し。「この悔しさを次の場所で晴らしたい。精いっぱい務めるだけ」と語っていたが、その願いはかなわなかった。

 新型コロナウイルス感染での死亡は角界初。現役力士の死去は08年に急性骨髄性白血病で亡くなった元幕下・若三梅さん以来となった。協会員の訃報に八角理事長(元横綱・北勝海)は「ただただ苦しかったと思いますが、力士らしく、粘り強く耐え、最後まで病気と闘ってくれました。今はただ、安らかに眠ってほしい」とコメント。芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「何とか心の中で回復してくれという思いでいっぱいだった」と語った。

 相撲協会は今月4日、政府による緊急事態宣言の延長を受けて2週間延期した夏場所(24日初日、両国国技館)を中止にした。移動のリスクを考慮して名古屋場所(7月19日初日)は両国国技館に会場を移し、無観客開催を目指すが、基礎疾患のある協会員もいる中、28歳とまだ若い現役力士が亡くなった。7月場所に影響を与えることは間違いない。

 ◆勝武士 幹士(しょうぶし・かんじ)本名末武清孝(すえたけ・きよたか)。1991年(平3)11月4日生まれ、甲府市出身。山梨・甲斐市立竜王中から高田川部屋に入門し、2007年春場所で初土俵。通算79場所で260勝279敗、最高位は東三段目11枚目。得意は突き、押し。12年名古屋場所から8場所は弾丸のしこ名で土俵に上がった。14年からは初っ切りも務めた。1メートル65、111キロ。

◇新型コロナウイルスで死去した著名人◇※年齢は享年。敬称略
勝 武 士28歳(力     士)
善竹富太郎40歳(狂  言  師)
高木 椋太58歳(シャンソン歌手)
岡田 公伸60歳(毎日放送取締役)
岡江久美子63歳(女     優)
志村 けん70歳(コメディアン)
岡本 行夫74歳(外交評論家)
立石 義雄80歳(オムロン元社長)
和田  周81歳(俳優、演出家)
松下 三郎84歳(講道館理事)

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