豊ノ島 18年の現役生活振り返り「長いような短いような」 心残りは「もう一回、菊と…」

[ 2020年4月17日 18:27 ]

豊ノ島
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 大相撲の元関脇・豊ノ島(36=時津風部屋)は17日に現役を引退し、年寄「井筒」を襲名した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で会見は行われず、電話取材で「自分自身でも長かったと思うけど、終わってしまうと長いような短いような。もう終わりという感じ」と18年に及んだ現役時代を振り返った。

 東幕下2枚目で関取復帰を懸けた3月の春場所は2勝5敗と負け越し。「正直、大阪場所で負け越したらやめるつもりだった」と引退の意向を固めていた。帰京して周囲との話し合いを終え、この時点での引退発表に至った。

 幾多の名勝負を繰り広げてきた相撲人生。思い出の一番について聞かれると「多すぎてなかなか難しい」と言いながら、2010年九州場所千秋楽に横綱・白鵬との優勝決定戦で敗れた相撲、16年初場所で初優勝した琴奨菊から唯一の白星を挙げた13日目の取組を挙げた。

 高知・宿毛高相撲部で活躍したものの、身長は1メートル70前後だったため、体の小さな入門希望者を対象とした第2新弟子検査を経ての初土俵だった。「僕も舞の海関を見て、小さいのに凄いと思っていた。自分が頑張ることで小さい子が頑張ってくれればと思っていた」。差し身のうまさに努力が加わり、04年初場所で第2新弟子検査合格者で初めての関取となった。

 16年名古屋場所前には左アキレス腱断裂の重傷を負い、幕内から幕下に転落した。幕下は丸2年に及んだが、十両に復帰。19年春場所では16場所ぶりの再入幕を果たした。関脇経験者が幕下まで落ちてから再入幕を果たしたのは、昭和以降では琴風、鳳凰に続き3人目だった。「家族がいなかったらやめていたとだろうし、家族のおかげ」と背中を押し続けてくれた沙帆(すなほ)夫人と長女・希歩ちゃんに感謝した。

 最後の幕内となった19年秋場所では、アマチュア時代からしのぎを削ってきた同期の琴奨菊との対戦がなかった。再び十両に落ちてからも琴奨菊と対戦することを目標にしてきたが、16年春場所が最後の対戦となった。「悔いはないが、一つ挙げるとしたらもう一回、菊(琴奨菊)とやりたかった」と最後にライバルへの熱い思いを口にした。

 今後は時津風部屋の部屋付きとして後進の指導に当たる。「親方はそもそも技術のある人。若い子で出世できないのは、そのレベルに達していないから。自分はその子ができるまで付きあってあげられる指導をしていきたい」と抱負を語った。

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2020年4月17日のニュース