バド世界4位「ソノカム」嘉村健士、勝負レシピで「自炊のススメ」

[ 2020年4月17日 05:30 ]

バドミントン男子ダブルスの嘉村健士
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 バドミントン男子ダブルスで園田啓悟(30)と組んで世界ランク4位につける嘉村健士(30=ともにトナミ運輸)が取材に応じ、新たな試みについて語った。新型コロナウイルス感染防止のため自宅待機を要請される現状だからこそ、逆転の発想で本格的な自炊にチャレンジ中。自ら“実験台”となり、SNSで料理の投稿を続けるメダル候補が、在宅男子へ「自炊のススメ」を説いた。

 不要不急の外出の自粛が求められる現在、自宅で異色のチャレンジを続けるのが嘉村だ。園田との「ソノカム」ペアは、東京五輪で日本男子初のメダルを狙う位置にいる。団体戦では日本代表の主将を務める男が突如、本格的な自炊に着手。今月5日から富山県内の自宅で料理の様子を紹介している。

 「大会、合宿が中止、延期になり、時間ができたというのもありますが、一番は少しでも不要な外出を控えるため。そして、食事でしっかり体調管理をするため。こんな状況でもあるので、今はSNSの料理投稿などを通じてファンの方と交流して、お互いが少しでも元気になれればいいなと」

 料理のレシピ検索アプリ「クックパッド」はもとより、サッカー日本代表DF長友佑都の専属シェフ・加藤超也氏の動画を参考に腕を振るう毎日。最初は買い出しだけで悪戦苦闘したが、ファンが返信してくれる情報も参考にしているという。双方向の“ラリー”を楽しみながら、自宅での時間を過ごす。

 「オススメベスト3は(サケの)ホイル焼き、ケランチム(韓国風茶わん蒸し)、ホタテとキャベツのだしスープ。理由はどれも簡単にできるという点。特にケランチムは卵を使う料理でタンパク質もしっかり取れますし、海藻類も一緒に入れればミネラルも豊富に取れるのでオススメです。茶わん蒸しが好きな人は特にオススメ」

 バドミントンのワールドツアーは過酷だ。1年のうち3分の2以上は合宿や海外遠征で埋まる。大好物のラーメン投稿専用インスタグラムが人気だった嘉村も、3年前から体重管理の上で食事の重要性を痛感。自炊を避けてきたアスリートや自宅待機の男性たちへ、そのメリットをアピールする。

 「今までは試合や遠征がなく自宅にいる時は外食ばかりでどうしても偏ったり、脂質の多い食事になってしまってました。今後、簡単に作ることができる、栄養の取れる料理を覚えたので食事で体の強化ができるのではないかと思っています。現在、独身なので今後結婚できたら料理の面で協力できるんではないかとも(笑い)」

 1年延期となった東京五輪。同級生ペアのソノカムは、31歳で本番を迎えることになる。嘉村は筋力の維持に励み、過去のプレー映像を見て、自らを奮い立たせている。

 「年齢的にも厳しいのではないかという意見もあると思いますが、まだまだ成長できると個人的に思っています。いろんな戦略、技術を使ってどうやって勝つかもバドミントンの面白い部分。まだまだやれるんだぞというところを見せたい」

 先が見えない状況でも、創意工夫。いくつになっても成長。嘉村の挑戦には、そんなメッセージが込められている。

 ▼カムズキッチン(1)サケのホイル焼き
 サケの切り身2切れと、しめじ、まいたけなどキノコ類、長ネギなどの野菜をお好みで用意。アルミホイルの真ん中にサケ、キノコ、野菜を敷き詰める。その上に、しょう油、料理酒(大さじ1杯ずつ)にバター10グラムを加え、ホイルで包む。熱したフライパンに乗せ、ホイルの周囲に水50CCを入れる。フタをして、弱火で15分ほど蒸す。

 ▼カムズキッチン(2)ケランチム
 卵3個に料理酒(小さじ1杯)、塩、砂糖(小さじ2分の1ずつ)を加え、かき混ぜる。土鍋に水200CCと昆布だし8グラムを入れ、強火で加熱する。沸騰した土鍋に溶かした卵液を入れ、焦げないようにスプーンで混ぜる。縁が固まってきたら刻んだネギを入れ、フタをして中火でさらに2分ほど加熱する。

 ▼カムズキッチン(3)ホタテとキャベツのだしスープ
 キャベツ8分の1、タマネギ2分の1を薄切りにする。キャベツ、タマネギを入れた鍋にホタテ缶詰、水400CC、塩、コショウ、コンソメ少々を加え、ひと煮立ちさせる。ホタテ缶詰はだし代わりになるので、汁ごと入れる。フタをして弱火で4~5分煮る。

 《ワールドツアーは7月まで中断 五輪選考基準世界ランクも凍結》バドミントンのワールドツアーは7月までの中断が決定済み。五輪選考レースの基となる世界ランキングも凍結中だ。中断前最後の全英オープン(3月11~15日)に出場した日本代表は帰国後2週間自宅待機。嘉村らトナミ運輸の代表選手は今月2日から富山県内のチーム練習に合流した。嘉村は「この事態が収束し、再び(試合の)コートに立つ時は、プレーもそうですが人間的にも成長した姿でコートに立てるように」と話している。

 ◆嘉村 健士(かむら・たけし)1990年(平2)2月14日生まれ、佐賀県出身の30歳。唐津一中―八代東高―早大―トナミ運輸。全日本総合選手権優勝3回。16年ワールド・スーパーシリーズ・ファイナルズ準優勝。世界選手権は17年3位、18年準優勝。同じ高校の園田とは卒業後に進路が分かれたが、即席で組んだ09年新潟国体時に露天風呂で話し合い、ペアを再結成した。1メートル69、65キロ。右利き。

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