ラブスカフニ リーチとともにチームを率いるサモア戦 ジョセフHCが認めた統率力に注目

[ 2019年10月4日 12:00 ]

サモア戦への意気込みを語るラブスカフニ(撮影・吉田 剛)
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 チームの主将はリーチ、ゲームの主将はラブスカフニ。10月3日、日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが「6番、リーチ」と読み上げた後、いつも通り「キャプテン」の一声が加わらなかった時、単純に忘れただけだと思った。ところが続いて「7番、ラピース、キャプテン」である。最初は驚いた。リーチからの主将はく奪と感じた。しかし時間が経過し、そうではないという答えに至っている。

 ジョセフHCは16年秋の就任から1年間、堀江翔太と立川理道による共同主将制を敷いた。今回は公式にチームが共同主将制に移行したわけではないが、リーチが「2人合わせて、チームを引っ張っていくことになる。彼がゲーム主将で、僕がチームの主将。2人で今週の準備は凄くうまくできていると思います」と言った通り、実質的には共同主将制と言っていいだろう。ラブスカフニは自身がゲーム主将を務めたアイルランド戦の前、先発を外れたリーチの心情を慮り、言葉を掛けたという。

 7月に連続居住36カ月の要件を満たし、日本代表の資格を取得したばかりラブスカフニがここまでの存在感を発揮できるのは、大前提として一プレーヤーとして欠かせぬ力があることに加え、類いまれなリーダーシップが備わっているからに他ならない。ジョセフHCがその才に気づいたのは、サンウルブズのヘッドコーチを務めた18年シーズン開幕前に行われた、大分での合宿と推測する。

 期間の最後に組まれたのが、自衛隊別府駐屯地で組まれた3日間の合宿。ラグビーのハードトレーニングには慣れている選手たちも、普段とは勝手の違う訓練に、疲労は隠せなかったという。もっとも過酷だったのが、約20キロの装備品を担いで行われた16キロの歩行訓練。FWの大きな選手からスクラムハーフの小さな選手まで、分け隔てなく背負わされた装備品はしかし、ラブスカフニら外国出身のFW勢が一部の荷物を代わりに持つことで、全員が完走を果たすことになった。

 合宿に参加していた立川は、「外国人は基本的に強くて、日本人をサポートしてくれる行動が多かった。ビリー(ブリッツ)、ラピース(ラブスカフニ)が率先的に荷物を持ってくれたりとか」と振り返ったことがある。同様に彼らの自己犠牲が伝わる話は、他の日本人選手からも聞くことができた。「メンタルで負けてしまう選手も見えた」(立川)という3日間を通じ、逆にジョセフHCはラブスカフニのリーダーシップやメンタルのタフさに感銘を受けたに違いない。

 フリーステート大、南アフリカの国内リーグであるカリーカップではブルズでも主将を務めていたというラブスカフニ。リーダーとして心掛けるのは「いいお手本になること。それがみんなを促す力になる」と語っている。お互いに信頼を寄せる、リーチとともにチームを率いるサモア戦。2人の統率力にも注目したい。(阿部 令)

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2019年10月4日のニュース