メダルに黄信号のシッティングバレー 日本代表最年少セッター・波田みかは救世主となれるか
東京パラリンピックの正式種目、「シッティングバレーボール」をご存知だろうか。1チーム6人で構成され、座ったままプレーするバレーボールのことである。下肢障がい者が対象となり、臀部(でんぶ)が床から離れると反則になる。コートの広さは縦5メートル、横6メートル。ネットの高さは女子が1メートル05、男子は1メートル15。サーブをブロックできるなど多少の違いはあるが、6人制バレーと共通するルールも多い。もちろん、速攻やフェイントなどの駆け引きの面白さも失われていない。
世界ランク10位の女子日本代表は開催国枠で、来年の東京パラリンピック出場が決定している。しかし5月末に千葉で行われたチャレンジマッチでは同2位の中国、6位のカナダ、11位のイタリアと対戦し、予選と本選を通じて1勝もすることができなかった。強豪ばかりの大会とはいえ、目標のメダル獲得に黄色信号がともる結果となった。
この状況を打破するべく、代表唯一の10代で最年少のセッター、波田みか(17=東京プラネッツ女組)が燃えている。障がいの度合いで分けられるクラスの関係でスタメン、フル出場はできない。だが、チームのピンチに登場し「流れを変えられるようなトスを上げられるようになりたい」と自らキーパーソンとなることを誓った。
小1の頃、母親の影響で地元・埼玉でバレーを始め、セッターとして県大会にも出場した。小6の12月に骨肉腫を発症し、手術で右膝部分が人工関節となった。シッティングバレーの代表に初選出されたのは3年前、波田が14歳のとき。当初から主将としてチームを率いていた西家道代(52=Soul)は「技術面も精神面も成長した。これからが楽しみ」と伸びしろに期待している。
現在、高校3年生。シッティングバレーの練習に励みつつ、ギター部にも所属しているという。記者も高校時代は部活動で陸上競技に取り組む一方で、趣味の将棋で全国大会を目指していた。学業に加え、2つの競技に取り組む“3足のわらじ”の大変さは途方もないが、充実した日々だったと思う。青春を謳歌する華の女子高生は今後、日本代表の救世主となる。(小田切 葉月)
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