日本バスケ史に名を刻む…ファンを想いカタカナ練習に勤しんだ律儀な“日本人”

[ 2019年3月6日 09:00 ]

バスケットボール日本代表を支えるファジーカス(前列左から2人目)
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 サッカーでは与那城ジョージ、ラモス瑠偉、呂比須ワグナー、三都主アレサンドロ、田中マルクス闘莉王…。バスケットボールではワイス団、桜木ジェイアール、ファイ・パプ月瑠…。日本国籍を取得して日本代表でプレーした選手は名前に漢字を使用することが多い。

 一方で、ハーフナー・マイク、アイラ・ブラウンらカタカナの選手もいる。バスケットボール日本代表でW杯中国大会(8月31〜9月15日)の出場権獲得の立役者となったファジーカス・ニックも漢字を使っていない。12年に来日。日本国籍を取得した18年4月までの間に「ファジーカス・ニック」の文字に愛着を持ったことが、カタカナを選んだ理由の1つ。身長2メートル10のセンターは「サインのためにカタカナの名前を何度も練習して、かなり上手に書けるようになった。だから、あまり変えたくなかったんですよ」とはにかんだ。

 W杯出場を決めたアジア2次予選のカタール戦を終えて、2月25日に帰国。母校ネバダ大で自身が付けていた「背番号22」が永久欠番になったため、翌26日には米国に飛び、セレモニーに出席した。日本との時差はカタールがマイナス6時間、ネバダ州がマイナス17時間。今月1日に帰国すると、極度の時差ボケの中、2、3日に所属する川崎の渋谷SR戦に出場。連勝に貢献して、史上2人目のBリーグ通算4000得点を記録する快挙も達成した。

 日本代表のW杯出場は自国開催の06年以来3大会ぶり。予選を突破しての自力出場は98年ギリシャ大会以来5大会ぶりとなる。20年東京五輪で開催国枠が付与されるのも確実視されており、低迷が続いた日本バスケットボール史の転換期となる可能性を秘めた勝負の年が続く。その中心には、ファンを想いカタカナの練習に勤しんだ律儀な日本人「ファジーカス・ニック」がいる。(記者コラム・木本 新也)

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2019年3月6日のニュース