大迫 低体温症で初棄権「寒くなって体が動かなくなった」

[ 2019年3月4日 05:30 ]

東京マラソン ( 2019年3月3日 )

富岡八幡宮前を走る大迫(撮影・西海健太郎)
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 日本記録更新の期待も高かった日本マラソン界のエースが、見たこともない表情を浮かべた。25キロすぎに集団から遅れ始めると、29キロ付近で戦うのをやめた。コースを外れた大迫は肩を震わせ、全身は硬直。マラソンで初の途中棄権に「スタート地点から寒くなって体が動かなくなって棄権せざるを得ない状況でした」と関係者を通じてコメントした。

 午前9時のスタート時の天候は雨。気温は5・7度だったが、午前11時すぎには4・9度まで低下。関係者によると、大迫は低体温症になったとみられる。アジア記録保持者のエルアバシ(34=バーレーン)も途中棄権したほか、先頭集団で積極的なレースを展開した中村匠吾(26=富士通)も低体温で病院に直行するなど、過酷な条件が有力選手の行く手をふさいだ。

 大迫は大会前の記者会見で予想タイムをあえてボードに書き込まず「??時間??分??秒」と表現。「状態が良ければ前に行く」と話していたが天候に恵まれず、公式リザルトには皮肉にも「DNF(途中棄権)」と表記された。バイクで並走した早野忠昭レースディレクターは「大迫の体力が消耗しているのは見ていて分かった。天候にやられてダメージが残らなければ良いと思う」と振り返った。

 大迫は4日に都内で予定していたシューズ発表イベントの出演も、急きょキャンセルした。9月15日のMGC本番は真逆の気象条件だが、コースの下見も含めた予行演習と位置付けたレースで不発に終わり、不安が残る結末となった。

 《完走率史上2番目の低さ》気温5度前後の寒さと雨の中で行われた今大会の完走率は94.3%にとどまり、10年大会の94.1%に次ぐ史上2番目の低さだった。過去最高は08年の97.4%で、前回大会は96.2%だった。

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2019年3月4日のニュース