【高岡寿成の目】大迫、再認識できたマラソンの難しさ 堀尾は怖いもの知らずが良い方向に

[ 2019年3月4日 08:15 ]

東京マラソン ( 2019年3月3日 )

28キロ付近を走りながら口元に手を当てる大迫傑=東京都内
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 大迫選手は顔つきもよかったし、体も絞れていた。それでも途中棄権という結果になったのは、冷たい雨と寒さというこの日のコンディションが今の彼には厳しかったということだろう。ただ、たとえレースで結果は出なくてもここまで積み重ねてきた練習は決して無駄にはならないし必ず今後の力になる。一度も失敗せずにMGC、東京五輪へ進めるにこしたことはないが、マラソンは難しいということを再認識できただけでも今回のレースは意味があったと思いたい。

 日本勢トップの堀尾選手は初マラソンで、怖いもの知らずの走りが結果的にいい方向に出たという印象だ。今井選手の追い上げも箱根駅伝を見ているようで見応えがあった。

 上位の外国勢と日本勢の差は、5キロを14分30〜40秒で走るレースに普段から慣れているかどうかだと思う。恐らく2年前だったら日本勢は途中から誰もついていかなかっただろうが、設楽が日本記録をつくり、それを大迫がまた破ったことで選手たちの意識も格段に高くなった。MGCではペースメーカーがつかないし、気候的にも一転して暑くなる。状況に合わせてどうレースを組み立てていくかがポイントになりそうだ。(男子マラソン元日本記録保持者、カネボウ陸上部監督)

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