けがに苦しんだ稀勢の里「前の自分に戻れなかった」 休場続き「潔くやめるか自問自答」の日々

[ 2019年1月16日 16:39 ]

引退会見で涙を拭う稀勢の里(撮影・村上 大輔)
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 大相撲の第72代横綱・稀勢の里(32=田子ノ浦部屋)が16日、両国国技館で会見を開き、現役引退することを発表した。進退を懸けて初場所に臨んでいた稀勢の里だが、初日から3連敗。昨年秋場所千秋楽から不戦敗を除いて8連敗となり、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降の横綱では貴乃花を抜いてワースト記録を更新していた。

 横綱在位12場所はけがとの戦いだった。横綱として初めて臨んだ17年春場所、13日目の横綱・日馬富士戦で左肩上腕付近を負傷。強行出場した末に劇的優勝をつかんだが、代償は大きかった。3場所連続優勝を狙った翌夏場所は、春場所で痛めた患部を悪化させ11日目から途中休場した。その後も故障が完治せず18年名古屋場所まで8場所連続休場。年6場所となった58年以降では貴乃花の7場所連続を抜いて横綱の最長連続休場を更新した。

 けがについて質問が飛ぶと、稀勢の里は言葉に詰まりながら「一生懸命やってきました」と涙。「徐々に良くなってきましたが、自分の相撲が取れなくなっているのは(分かっていた)。けがをする前の自分に戻ることはできなかった」と語った。

 休場が続き、「このまま潔く引退するか、こうして横綱にあげてもらって、ファンの方たちのために相撲を取るかはいつも稽古場で自問自答していた」という。「応援してくれている方のために相撲を続けようという判断でやってきましたが、このような結果になってファンの方たちには本当に申し訳ないという気持ち」と実直な横綱はファンに謝罪し、「けがに強い力士を育てたい」と力強く語った。

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