愛さん引退会見「生涯ずっと卓球に関わっていく卓球人」

[ 2018年10月24日 05:30 ]

花束を手に笑顔の福原さん(撮影・小海途 良幹)
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 卓球女子の12年ロンドン五輪団体銀、16年リオ五輪団体銅メダリストで、21日に現役引退を発表した福原愛さん(29=ANA)が23日、都内で取材に応じた。これまでの卓球人生を振り返り、指導者転身を含めた今後の展望、20年東京五輪を目指す後輩への思いを語った約30分。“泣き虫愛ちゃん”として幼い頃から親しまれてきたヒロインは、涙を見せることなく笑顔で新たなスタートを切った。

 ブログでの引退表明から2日、福原さんは柔らかな笑顔で約100人の報道陣の前に姿を見せた。「選手生活に一区切りをつける発表をしてから、いろんな方から“お疲れさま”と言ってもらえて、凄く気持ちが軽くなった。今はとても晴れやかな気持ちです」。重圧から解放された29歳は、現役時代とは違う意味の無数のフラッシュを浴びた。

 リオ五輪後に台湾の江宏傑(コウ・コウケツ、29)と結婚、昨年10月には長女を出産した。現役続行か引退か、日々気持ちが揺れ動く中、決意を固めたのは今年5月。「一歩引いて卓球界のことを考えた時に、今回のような答えがストンと出てきた」。日本勢の活躍を見て、選手としての役割が終わったことを感じ、7月にはTリーグの理事にも就任。「自分の考えを口に出す勇気もなくいるのは、とても失礼と思った。理事として一歩、踏みだそうと思った」と明かした。

 92年8月13日、3歳9カ月で卓球選手「福原愛」が誕生してから、この日で9567日。現役生活で印象に残るのは3大会だ。「(12年の)全日本で優勝した時に表彰台から見えた景色。ロンドンとリオでメダルを獲得して、そのメダルを皆さんにお見せした時に喜んでいただいている笑顔」。今も色あせない、福原さんにとっての大切な思い出だ。

 「生涯ずっと卓球に関わっていく卓球人」と自身を表現し、「卓球は私の恩人」と言う。今後は卓球界の発展に尽力し、指導者転身も視野。「いろんな道を考えていきたい。まずは周りから必要とされる指導者にならないと」。いつの日か、長女のコーチとしてコートに帰ってくる可能性も十分ある。「いろんな地域で、できることを全力でやっていきたい」と話した。

 福原さんも目指した東京五輪開幕まで、2年を切った。「後輩たちには何も心配していない。持ち前の明るさと元気で卓球界を引っ張っていってもらいたい。みんななら大丈夫」。現役選手へ愛を込めてエールを送った。

 約30分の会見で感極まるシーンもあったが、最後まで涙は見せなかった。カメラマンに「バイバイと手を振って」とリクエストされると、「いや、まだいます、私!」と笑った。これからも存在感は不変。みんなに親しまれたヒロインが、卓球界、そしてスポーツ界の未来を明るく照らす。

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