モーグル遠藤“仮想五輪”で2位!W杯自己最高 平昌へ弾み

[ 2018年1月12日 05:30 ]

フリースタイルスキー W杯モーグル男子第5戦 ( 2018年1月10日    米国・ユタ州ディアバレー )

W杯男子モーグルで自己最高に並ぶ2位となり喜ぶ遠藤
Photo By 共同

 男子の遠藤尚(27=忍建設)が84・44点で、W杯自己最高の2位に入った。予選を9位、16人で争う決勝1回目を3位で通過すると、6人による決勝2回目ではさらに順位を上げた。表彰台は2季ぶりで自身8度目。これまで2回の2位は非五輪種目のデュアルだったが、モーグルで自己最高成績を残し、3度目の挑戦となる平昌五輪に大きな弾みをつけた。

 これ以上できることはないか。そう問いかけて遠藤は攻めた。9位だった予選を終え「ギアを上げないとスーパーファイナル(決勝2回目)に行けない」と覚悟を決めた。

 決勝1回目で3位に入ると、順位の懸かった2回目はさらに突っ込んだ。城勇太コーチが「上から見ても伝わるくらい」と言うほどの積極的な滑りでゴール。拳を握りしめ、得点が出るとさらに大きくガッツポーズした。

 これ以上できることはないか。最初にそう問いかけたのは4年前のソチ五輪後だった。メダル候補として臨んで15位と期待を裏切った。引退も頭をよぎったが「獲れるものを獲れなかった。自分に可能性を残したままやめるのは嫌だった」

 再起を決めてからはいばらの道。15年のW杯で腰椎を圧迫骨折し、翌年も右肩甲骨を折って長期戦線離脱した。昨年3月の全日本選手権では左肩の関節唇も痛めて腕が十分に上がらない。だがソチでの後悔と平昌で最後の覚悟が、ケガさえも言い訳にしない姿勢をつくり昨季、年下の堀島が世界王者となったことにも刺激を受けてきた。

 「毎日寝る前に100%やれたかと考えたら、かなり高い確率でそう思える。もう少しではなくて限界ギリギリまでやって引退する理由をちゃんとつくりたい」。夏場の合宿から語っていた決意を実らせてのW杯自己最高順位。五輪を担当する審判団が採点した“仮想五輪”で「表彰台に立つのが目標だった」とアピールは済ませた。

 五輪前のW杯は11日(日本時間12日)の第6戦を含めて残り2試合。モーグルW杯歴代最多の47勝目を挙げたキングズベリーには手が届かなかったものの、第1エアの難度など上積みの余地は残している。「これに満足する気はさらさらない」。平昌で引退を決意している遠藤だが、まだできることは残されている。

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2018年1月12日のニュース