遠藤 平幕勝ち越し第1号!十両からの復帰場所で存在感

[ 2016年5月19日 05:30 ]

<大相撲夏場所11日目>土俵上の稀勢の里(右)の横を通り過ぎる白鵬

大相撲夏場所11日目

(5月18日 両国国技館)
 再入幕の遠藤が千代鳳を押し出して、平幕の勝ち越し第1号となった。自身、昨年秋場所以来の幕内勝ち越し。初場所を左膝痛と右足首痛で7日目から途中休場し、先場所は十両で再スタート。ケガと闘いながら1場所で幕内に帰ってきた人気力士は、スケールアップした姿で館内を大いに沸かせている。優勝争いは横綱・白鵬と大関・稀勢の里が全勝を守った。
【取組結果】

 遠藤が文字通り、大きくなって帰ってきた。馬力のある千代鳳に、立ち合いで正面から当たって一歩も引かず、力強く押し出し。勝ち越しが懸かる一番で得意の左差しにこだわらず、圧力を掛け続ける姿は“ニュー遠藤”と言っていい。

 「向こうも体が大きいので、しっかり踏み込んで当たった。我慢して前に出られた」

 思い切った“休養”が吉と出ている。今場所直前、古傷に違和感を覚えると稽古を自重した。「少し焦りはあったけど、焦ってよくなかった経験があったんで、我慢しました」。かつては少々無理をしてでも稽古を行い、安心感を得ていた。今は15日間を見据えて、休むことを覚えた。

 ケガの影響もあって140キロ台に落ちていた体重を、今場所前の体重測定で150キロ台に乗せた。うまさでかわしてきた幕内の馬力に、力でも対抗できるようになった。師匠の追手風親方(元幕内・大翔山)は「幕では155キロから160キロくらい要ると、入門から言ってきた。経験して、それが分かってきたんじゃないかな。体重が増え、相撲の流れも変わる」と目を細める。真夜中の焼き肉にも初めて取り組むなど、夜食を充実させた。

 しかし、本当に遠藤を苦しめたものは、食べる苦労ではない。治療でもでもない。昨年の九州場所で4勝11敗と大きく負け越し。初場所では途中休場し、春場所は十両。それでも土俵入りでは白鵬、稀勢の里に次ぐ拍手を浴びる人気者。ふがいなかったここ3場所の悔しさを問われると、こう答えた。

 「お客さんの声援に応えられない辛(つら)さはあった」

 「辛」という文字に少し手を入れると「幸」になる。遠藤に体重と先を見通すメンタルが加わり「辛」が「幸」になりつつある。

 ▽遠藤の苦闘メモ 西前頭5枚目で迎えた昨年3月春場所5日目の松鳳山戦で左膝を負傷。左膝の前十字じん帯損傷と外側半月板損傷で翌日から途中休場した。手術は選択せずに地道に治療を重ねて7月の名古屋場所から2場所連続で勝ち越したが、直後の秋巡業で今度は右足首を負傷。続く11月の九州場所はケガの影響もあって4勝11敗と大きく負け越した。東前頭11枚目で迎えた今年1月の初場所では右足首と左膝の状態が思わしくなく7日目から途中休場。16場所ぶりに十両に陥落した先場所は11勝4敗の好成績を挙げ、1場所で幕内に復帰した。

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2016年5月19日のニュース