長引く試合、選手に混乱も…課題多いバレーのチャレンジシステム

[ 2016年5月19日 12:04 ]

日本―タイ戦は3時間近くの死闘に…フルセットの末に勝利をつかみガッツポーズをする日本の選手たち

 現在、リオデジャネイロ五輪出場権を懸けたバレーボール女子の世界最終予選兼アジア予選が東京体育館で行われており、連日熱戦が繰り広げられている。世界ランキング5位の日本は19日、同13位のタイと対戦し、フルセットの激闘を制した。最終セットは6点リードを許しながら、8連続得点で逆転する劇的な勝利だった。

 とてもエキサイティングな試合だったと思うが、その一方でイライラしながら観戦していた方も多かったのではないだろうか。両チームからチャレンジシステム(ビデオ判定)の要求が乱発し、ゲームがたびたび中断となった。試合は午後7時20分に始まり、終わったのは同10時17分。今大会これまで2時間を超える試合はなかったが、3時間近くを要した。

 既にテニスなどの他競技で導入されており、ご存じの方も多いかと思うが、チャレンジシステムとは審判の判定に異議を申し立て、ビデオ判定で再確認できる制度である。成功となれば、判定は覆る。バレーボール界でも13年から試験的に取り入れられてきた。現在は各セット2回失敗するまで要求できる。

 チャレンジの成功とは判定に誤りがあったことを意味する。本来「成功」は少ないほうがいい。だが、この試合の第2セットでタイが2度、日本が1度チャレンジに成功。その後は少しでも疑わしければ、チャレンジを要求するムードになった。さらに悪循環は続き、相次ぐチャレンジ成功(ミスジャッジ)によって慎重になった審判までビデオ判定を要求。これはルール上認められている正当な行為ではあるが、試合がムダに間延びする要因になった。

 また、選手や観客が混乱するシーンもあった。ラリー中に反則が疑われる行為(タッチネットなど)があった場合、ラリー終了後ではなく、ラリー中にチャレンジを要求しなければいけない。プレーの最中に突然チャレンジ要求を告げるブザーが鳴り響くと、選手は呆然と立ちつくしていた。日本の真鍋監督は「チャレンジシステムは問題かなと思う。でもルールですからね…」と複雑な表情を浮かべながらも「ラリーが止まるのは、バレーをする上ではよくないのかな」と指摘した。

 「チャレンジ」は誤審を減らす重要なシステムで、会場内の大型ビジョンにその成否が映し出されるおもしろさも理解できる。ただ、バレーボールが本来持つスピード感やゲームの流れといったおもしろさが失われては元も子もない。かつてバレーボールはテレビ放映向きに試合時間が長引かないよう、サイドアウト制(サーブ権を持つチームのみ点数が入る)からラリーポイント制(サーブ権の有無にかかわらず点数が入る)にルールを変更した。現在のチャレンジシステムのルールではまた試合時間が長くなるリスクもある。運用方法に問題は山積みだ。(柳田 博) 

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