沙羅9連勝でW杯通算40勝!踏み切り不満も1人だけ90メートル超え

[ 2016年2月7日 05:30 ]

優勝した高梨(中)左が2位のイラシュコ、右が3位のルンビー(AP)

 ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子は6日、オーストリアのヒンツェンバッハで個人第11戦(HS94メートル、K点85メートル)が行われ、19歳の高梨沙羅(クラレ)が合計257・2点で優勝、自己最多記録の連勝を9に伸ばして今季10勝目を挙げ、通算40勝とした。1回目に最長不倒の93・5メートル、2回目も93メートルを飛んだ。勢藤優花(北海道メディカルスポーツ専門学校)は15位、伊藤有希(土屋ホーム)は20位だった。上位30人による2回目に進めなかった岩渕香里(松本大)は34位に終わった。

 高梨の強さの前では、ライバルたちも引き立て役になってしまう。1回目、好調のブティッチ(スロベニア)と地元オーストリアで昨季個人総合女王のイラシュコがともに88メートルを飛び、観客が大喜びした直後だった。ただ一人90メートルを超え、ヒルサイズにあと0・5メートルと迫る別次元の飛躍。2回目も93メートルを飛んでの圧勝だった。

 90メートルを超えたのは高梨だけ。その姿は自信と余裕にあふれ、ぶれがない。助走、踏み切り、空中姿勢から着地まで全てが機械のように正確だ。それでも「2本とも(踏み切りの)タイミングが遅れて失敗した」と言う。今季唯一ラージヒルで開催された4日の前戦から、ノーマルヒルに戻ったことによる感覚のずれを反省した。

 一方で「タイミングが遅れても距離を伸ばせたのは、空中でリカバリーできる能力がついてきたのだと思う」とも。9に伸びた連勝が途切れる不安はないのかと問われ「結果とか記録のことを考えていない。自分のジャンプの質を上げるだけ」と答えた。

 年明けのCM発表会では書き初めで「収」と記した。「学びを力に変えるため、経験を自分の中に収めたい」という思いからだった。総合2位に終わった昨年の経験を糧にし、貪欲に理想を追い求める女王。全く隙のない高梨を、止める選手はいるのだろうか。

続きを表示

この記事のフォト

2016年2月7日のニュース