稀勢 来場所へ綱獲りつなぐ 北の湖理事長「12勝なら盛り上がる」

[ 2013年7月19日 06:00 ]

稀勢の里が浴びせ倒しで琴欧洲を破る

大相撲名古屋場所12日目

(7月18日 愛知県体育館)
 稀勢の里が琴欧洲を浴びせ倒して大関対決を制し、9勝3敗とした。今場所の綱獲りは既に望みが断たれたが、北の湖理事長(元横綱)は12勝3敗まで星を伸ばした場合、来場所に綱獲りがつながる可能性を明言した。横綱・白鵬は右脇腹を負傷しながらも大関・琴奨菊を下し、12戦全勝。13日目に2敗の碧山が敗れ、白鵬が勝てば3連覇と史上3位(単独)の26度目の優勝が決まる。

 皮肉なものだ。今場所の綱獲りのチャンスが消えてから、稀勢の里の相撲が見違えるように安定してきた。琴欧洲との大関対決。左四つがっぷりの体勢から巧みに腰を引いて上手を許さず、最後は相手が右手を巻き替えにきたところをセオリー通りに前に出て浴びせ倒した。

 「いい状態になっている。気負い過ぎずにやることをやるだけ」。入幕から777回連続出場(現役1位)という“ラッキー”な日だけあって、白星と一緒に朗報も舞い込んできた。一度は完全消滅したかに思われた綱獲りが、来場所も継続される可能性が出てきたのだ。

 打ち出し後、北の湖理事長は「11勝と12勝では極端に違う。(12勝すれば)話題も出てくるし盛り上がってくる。先場所の13勝につながってくる」と明言した。ただし、たとえ12勝しても来場所は「低い優勝ではダメ」とより条件が厳しくなることも付け加えた。

 場所前に右足付け根を負傷するなど体調面に不安があり、7日目までに3敗。その際に北の湖理事長は、来場所の綱獲り継続について現実問題として捉えて「厳しい」と話した。

 しかし、8日目の旭天鵬戦から5連勝。15歳の入門時から一度も休場がなく、15日間を戦い抜く中で気持ちを切らさずに徐々に調子を上げる精神が養われているからこそ、生まれたわずかな可能性。理事長の発言を聞かされた大関は「まあ、そうですね。やれることをしっかりやるだけです」と浮かれることなく淡々と答えた。

 綱獲りは残りの日馬富士戦、白鵬戦、琴奨菊戦を全勝することが最低条件だが、14日目での対戦が予想される白鵬がこの日の相撲で右脇腹を負傷するなど追い風もある。ゼロではない可能性に向け、残り3日、持てる力を出し尽くす。

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2013年7月19日のニュース