涙流すレスリング未来のメダリスト「なくなるのは嫌」

[ 2013年2月12日 22:15 ]

レスリング女子の吉田沙保里を起用して作られた2020年東京五輪招致をPRする看板=東京・原宿

 未来のメダリストを夢見る子どもは涙を流した。12日、2020年五輪から除外の危機となったレスリング。競技に取り組む小学生は「(五輪から)なくなるのは嫌」と衝撃を隠せず、指導者も「寝耳に水」と驚いた。

 岩手県宮古市の大槌さくらさん(11)は昨年1月、東日本大震災の被災地を激励しようと訪れた吉田沙保里選手の胸を借りて練習した。「自分が一生懸命練習してきたのは、五輪に出て金メダルがほしかったから」と涙が止まらない。

 ロンドンで五輪3連覇を達成した吉田選手の姿を見て、五輪への思いをますます強めていた。「オリンピックに近づけるよう、高校生と同じような練習をしていたのに」と言葉を詰まらせた。

 「できれば(五輪競技に)残してほしい」と話すのは同じく宮古市の村上史拓君(10)。3歳のころからレスリングを始め「大学生ぐらいになったらオリンピックに出たいな」と思っていた。「なくなったら寂しいけど、レスリングは頑張る」と話した。

 2人を指導する宮古ジュニアレスリングクラブの渡辺直樹代表(40)は「人生の目標を変える決断を迫られる子もいるのではないか。子どもたちにどう説明すればいいのか」とショックを受けた様子だった。

 伊調千春、馨の両選手を育てたレスリング教室「八戸クラブ」(青森県八戸市)の沢内和興代表(66)は「女子レスリングはこれまで五輪で3大会しかやっていないのに信じられない」と声を落とした。

 「まだ正式に決まったわけではないので、普段通りに指導していきたい」としながらも「国内の競技人口は減っている。五輪からなくなると減少に拍車をかけるのでは」と危機感を募らせた。(共同)

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