エディーJAPAN劇的2連勝 小野“サヨナラDG”

[ 2012年11月18日 06:00 ]

グルジア戦の前半、トライを決める小野沢(日本ラグビー協会提供)

 ジャパンが劇的な勝利を飾った。世界ランク15位のラグビー日本代表は17日、トビリシで同ランク16位のグルジア代表と国際親善試合で対戦し、25―22で逆転勝ちした。日本は前半を13―9で折り返し、後半は一時9点差をつけられたが、FB五郎丸歩(26=ヤマハ発動機)が3本のPGを成功。22―22で迎えた後半終了間際にSO小野晃征(25=サントリー)が約25メートルのドロップゴール(DG)で勝ち越した。10日のルーマニア戦(34―23)に続いて今秋の欧州遠征2連勝。次戦は21日にフランスでバスク選抜と対戦する。

 劇的な“サヨナラDG”だった。時計は40分を経過し、22―22の同点。勝ち越しを狙う日本が22メートルライン付近まで攻め込むと相手が思わず反則を犯した。プレーが途切れればペナルティーゴール(PG)が得られるチャンスだったが、小野はゴール正面約25メートルでこぼれたボールを拾うと、迷わず右足を振り抜いた。ボールがHポールを通過すると同時にノーサイド。10番を中心に歓喜の輪が広がった。

 「たまたまボールが転がってきて、タックルされそうだったから蹴った。入った時は時間が止まった気がした。勝てて良かったし、自分のパフォーマンスもしっかりできた」と小野は笑顔を見せた。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(52)が指名した日本の攻撃の司令塔はニュージーランド(NZ)帰りの25歳。19歳まで本場で鍛えた右足が欧州で実力を見せた。今回の遠征前まで欧州で欧州勢と戦った試合は25戦全敗だったが、2連勝に導いた。

 ジョーンズ・ヘッドコーチは「長く指導してきたが、このようなDGで勝ったのは初めて。最後に勝ったのはラッキー。勇気を持ってディフェンス、アタックの両方ともやってくれたのが勝因」と選手を称えた。スクラムで劣勢だったが、低く前に出るディフェンスで対抗。6―9の前半終了間際に自陣から積極的に回して小野沢が逆転のトライ。最後も5分以上もボールを継続して、勝ち越しにつなげた。

 日本はテストマッチで残り20分に失速して突き放されていたが、この日は最後まで足が止まらなかった。WTB広瀬主将は「みんなの何かを変えたいという思いが勝ちにつながった」と胸を張った。11月の欧州遠征は04年以来8年ぶり。前回はスコットランド(8―100)、ルーマニア(10―25)、ウェールズ(0―98)と惨敗。現在のメンバーで唯一8年前の遠征に参加したロック大野は「ジャパンは成長している。この勢いで世界トップ10入りを目指したい」と手応えをつかんだ。

 ▼小野沢の話(前半42分に代表通算53本目のトライ)みんなが頑張ったし、いいコミュニケーションが取れた。自分のトライはおまけです。今週、みんなでいい練習ができたおかげです。

 ◆小野 晃征(おの・こうせい)1987年(昭62)4月17日、名古屋市生まれの25歳。3歳の時に家族とともにニュージーランドに移住。6歳でラグビーを始め、名門カンタベリー・ボーイズ高へ進学。SO、CTBでプレー、17歳の時にU―19ニュージーランド代表候補に選ばれた。カンタベリー大を中退し、07年にサニックス入り。07年の韓国戦で代表初キャップを獲得し、同年のW杯(フランスなど)出場。今季からサントリーに移籍した。1メートル71、81キロ。血液型AB。

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