日馬富士 ケガ乗り越え2度目V!白鵬破り8連覇阻止

[ 2011年7月24日 06:00 ]

Vサインで引き揚げる日馬富士

大相撲名古屋場所14日目

(7月23日 愛知県体育館)
 全勝の大関・日馬富士(27=伊勢ケ浜部屋)が結びで、1敗で追う横綱・白鵬(26=宮城野部屋)を寄り切りで撃破。千秋楽を待たずに09年夏場所以来2度目の優勝を決め、白鵬の前人未到の8連覇を阻止した。右足首などの負傷に悩まされながらも完全復活。秋場所(9月11日初日、両国国技館)では綱獲りの夢を実現させ、10月に予定しているバトトール夫人(24)との結婚披露宴に花を添える。
【取組結果】

 無数の座布団が舞う。精根尽き果てた日馬富士は前傾姿勢で勝ち名乗りを受けた。1分4秒に及ぶ熱戦を制した。髪は逆立ち、荒い息は収まらない。花道では付け人の出迎えに表情を崩したが、その目は少し潤んでいた。

 白鵬に勝てば12場所ぶりの優勝が決まる結びの一番。前夜にモンゴルの先輩である元横綱・朝青龍から電話で「緊張しないでいけ」とアドバイスを受けた日馬富士は立ち合いだけに集中していた。

 欲しかった左前ミツに手が届くと、その一点に神経を集中。「何があっても(左は)離しちゃダメ。全身全霊をかけてやりました」。8連覇を狙う横綱を棒立ちにさせて、低い姿勢から勝機をうかがう。白鵬が苦し紛れに下手投げを打つ。その瞬間、待ってましたとばかりに上手投げで返し、横向きになった横綱を寄り切った。支度部屋では「どんなことがあっても支えてくれたファン、後援会のおかげで2年ぶりに優勝できた」と言葉を絞り出した。

 大関昇進後の道のりは平たんではなかった。大関デビューの09年初場所でいきなり4連敗。同年夏場所で初優勝を果たしたが、その後は右膝や右肩などのケガに泣かされた。昨年九州場所は右足首を負傷し途中休場。「自己管理ができていない」と師匠から突き放されたこともあった。やり直しを誓った日馬富士は6月の大阪・堺合宿でケガに強い体づくりに着手した。それまで50番以上やっていた申し合いを30番に減らす一方、1番1番に集中することを徹底。量より質を優先し、ここ一番での集中力は増した。

 初日前日の9日には母ミャグマルスレンさん(53)をモンゴルから名古屋に呼び寄せていた。猛暑の中でスタミナ源となったのがモンゴル風にアレンジしたうどんなど、母のつくる手料理だった。また痛めている右足首のテーピングにお守りをしのばせるなど、いつも以上に勝ちに対するこだわりを見せていた。

 過去大関で全勝優勝した14人のうち12人は後に横綱に昇進している。秋場所が綱獲りの場所となるが、きょう千秋楽の稀勢の里戦はその試金石ともいえる一番だ。「全勝優勝を狙うか」との質問に「もちろん」と即答した大関は「周囲の期待通りの相撲を取りたい」と目を輝かせた。10月にはバトトール夫人との結婚披露宴が予定されている。最愛の人への最高のプレゼントは綱を締める自らの姿だ。

続きを表示

2011年7月24日のニュース