痛恨3敗目…琴奨菊、大関獲り“崖っ縁”

[ 2011年7月23日 06:00 ]

隠岐の海(右)に小手投げで敗れる琴奨菊

大相撲名古屋場所13日目

(7月22日 愛知県体育館)
 大関獲りを狙う琴奨菊が崖っ縁に立たされた。隠岐の海に土俵際で小手投げを食らって3敗目。大関昇進にはもう1敗も許されなくなったが、平幕に2敗したことで審判部の意見も割れそうな状況となった。全勝の日馬富士は切り返しで把瑠都を破り単独トップ。14日目に1敗の白鵬を破れば、09年夏場所以来の優勝が決まる。

 大関候補のまさかの敗戦に館内が静まりかえる。琴奨菊は支度部屋に戻る途中の通路脇にあったテレビモニターの前で立ち止まり、自らの取組のVTRをぼう然と見つめた。前日までの自信満々の表情からは一転。「力は出し切ったんで。しゃあないッス。硬さ?ないと言えばウソになる」と言葉を絞り出した。

 勝てば大関に王手がかかる一番。その重圧が焦りを呼んだ。立ち合いで左を差すと、土俵中央で右上手を取りにいこうとするが、うまくつかめない。じれたように右おっつけで前に出ると土俵際で隠岐の海の小手投げを食らった。土俵下の控えにいた同部屋の大関・琴欧洲はその強引な攻めに「カチコチで全然、膝が曲がっていなかった。いつもの琴奨菊じゃない」と“異変”を指摘。師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)も「いつものように上手を取ってから出れば…」と残念そうに話した。

 痛恨の1敗だ。大関昇進の目安は直近3場所で33勝。残り2日で連勝すれば数字上はハードルをクリアするが、平幕相手の黒星はマイナス要素となる。三保ケ関審判長(元大関・増位山)は「平幕だもんな。初日も平幕だし(審判部内で)いろいろ意見が出るだろう」と話した。初日の豊ノ島戦と合わせて平幕2敗で、白鵬戦の劇的な勝利も帳消しになりかねない。

 14日目は若の里が相手。大関獲りに2度挑んで果たせず、その厳しさを知るベテランが大きな壁となって立ちはだかる。ピンチでこそ器の大きさが試される。「もう2番しかない。勝っても負けても、いい相撲を取りたい」と琴奨菊。自分を信じ最後まで全力を尽くす。

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2011年7月23日のニュース