ノーマーク岸田が一気にメダル候補へ

[ 2008年4月21日 06:00 ]

男子100mバタフライ決勝 日本新記録を塗り替えて優勝し北京五輪出場を決めた岸田真幸

 競泳の日本選手権兼北京五輪代表選考会最終日は20日、東京辰巳国際水泳場で行われ、男子百メートルバタフライで、同種目に本格転向して2年目の岸田真幸(22)が51秒86の日本新をマークして初優勝し、初の五輪出場を決めた。今季の世界ランキング3位の好タイムで、メダル候補に一気に浮上した。女子二百メートル平泳ぎで2位に入った金藤理絵(19)が新たに五輪切符を獲得し、北京五輪代表選手は31人(リレー9人含む)となった。

 ノーマークの男の猛烈な追い込みに、会場がどよめいた。ガイドブックにも載っていない岸田が後半に加速し、二百メートル個人メドレー代表の藤井、五十メートル日本記録保持者の高安、第一人者の山本を抑えてトップでゴールした。前日の準決勝で藤井がマークした日本記録を0秒28更新し、日本人初の51秒台となる51秒86。五輪での決勝進出を想定する派遣標準1を突破して北京行きを決めた。
 「チームメートに、一緒に北京に行こうと言われていたんで、本当にうれしい」。拠点とする米国のアリゾナ大は競泳、特に自由形、バタフライの強豪校。3年前、早大を中退して留学した米国で才能が花開いた。
 留学の理由が「百メートル自由形で49秒台を出したい」だったように、もともとは自由形の選手。今大会でも五十メートル自由形で優勝した。しかし、米国での練習でバタフライにも取り組むうち、キック力などを買われてコーチに転向を勧められた。
 本格的に取り組んだのは昨年。同大には世界選手権4位のリンドン・ファーンズらがおり「世界トップ選手がいるので、練習からレースの感覚」。体格で劣る日本人が苦手とする種目ながら“世界では勝てない”との固定観念がなかった。
 世界新を連発しているスピード社の水着で五輪切符を手にしたが、本番で着ることはできない。それでも「水着の力もあったかもしれないけれど、自分の力もある」と話した。今季世界ランクで世界記録保持者のクロッカー、怪物フェルプスに次ぐ3位。「北京では51秒前半を出して、まずは決勝に残ること。メドレーリレーでもメダル獲得に貢献したい」。まだ伸びる可能性を十分に秘めた新星が、最終日に現れた。

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2008年4月21日のニュース