塚田 ライバル倒して涙の五輪切符

[ 2008年4月21日 06:00 ]

決勝で薪谷(左)を攻める塚田

 全日本女子柔道選手権兼北京五輪最終選考会は20日、横浜文化体育館で行われ、アテネ五輪女子78キロ超級金メダリストの塚田真希(26=綜合警備保障)が決勝で薪谷翠(27=ミキハウス)を判定で破り、田辺陽子(現日大女子監督)を超える史上最多の7連覇を達成した。5日に行われた選抜体重別も制した塚田は、大会終了後の全日本柔道連盟強化委員会で北京五輪の78キロ超級代表に決定。試合後に現役引退を発表した、長年のライバル・薪谷にエールを送られた塚田は、涙で五輪連覇を約束した。

 判定の赤い旗が3本そろった瞬間から、塚田の涙が止まらなくなった。7連覇の重圧から解放されたからではない。「ありがとう」と抱きしめてくれた薪谷の、現役最後の試合。慕い、競い合ったライバルに全力で立ち向かい、連続五輪出場を決めたことに意味があった。
 「シニアの全日本に入ったとき、きつくて戸惑うことがあったけど、薪谷先輩がやさしく接してくれて、おいしいご飯をごちそうになって…」。02年のアジア大会で右ひざ開放性脱臼の大ケガを負った薪谷は、完ぺきとはいえない体でアテネ、北京と塚田の前にたちはだかった。「複雑な気持ち」だった4年前の最終選考会とは違い「無心で」戦えたことが、勝負師としての成長だった。
 これで五輪連覇への道は開けた。最大の標的は05年、昨年と世界選手権2大会連続で敗れた現78キロ超級女王のトンウェン(中国)。アテネ後、一度も勝っていない宿敵の力強さは、半端ではない。しかし「いろんな人たちの思いの上での代表なんだと実感した」という塚田には、五輪連覇で最強を証明する権利と義務がある。

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2008年4月21日のニュース