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国境や競技の枠組を超えて推し進めるブンデスリーガの国際化戦略

[ 2025年2月26日 08:00 ]

ブンデスリーガの国際戦略を語るナウベルト氏
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 アメリカン・フットボールの米プロリーグNFLが、来季ベルリンで初開催する公式戦でコルツがプレーすると発表したのが1月のこと。サッカー担当として意識したのはブンデスリーガだった。英国やドイツ、メキシコ、ブラジル、スペインとNFLが公式戦開催で海外市場開拓を進めてきた一方、ドイツのプロサッカーリーグもNFLと提携。国際化戦略を推進してきた。

 以前、取材したブンデスリーガのマーケティングを担当するピア・ニクラス・ナウベルト氏(44)は「スタジアム環境の情報共有や米国でどうビジネスを展開していけるのか。ブランドの構築でNFLから学ぶことも多くあった」と話していた。

 ドイツ1部の平均観客動員4万3000人はNFLの6万7000に次ぐプロスポーツ世界2位。国際的な監査法人デロイトが発表したデータで22~23年シーズンのリーグ収益は38億ユーロ(約5963億円)で、イングランド・プレミアリーグの70億ユーロ(約1兆984億円)には及ばないものの、スペイン1部の35億ユーロ(約5492億円)、イタリア・セリエAの29億ユーロ(約4550億円)、フランス1部の24億ユーロ(約3766億円)を上回って欧州2位を記録する。

 それでもさらなる成長に貪欲でNFLとの提携に限らずに米国や日本、中国、インド、インドネシア、ベトナム、メキシコ、南アフリカ、ナイジェリアなど14カ国を市場開拓の有力な標的としてピックアップ。各クラブにも国際化を奨励してきた。Eフランクフルトは浦和、ボーフムはJ2磐田、2部ケルンは広島とのクラブ同士に加え、日本企業や自治体、大学などとも提携関係を広げている。昨夏はプレシーズンのツアーでシュツットガルトとドルトムントが来日。これら国際活動をリーグとして財政支援し、後押ししてきた。

 ナウベルト氏は「我々は外資企業。何かをすぐに実現できるという思いはない。現地のリーグやクラブ、サッカー協会との協力があって関係は成り立つ。それに伴ってビジネスがついている。NFLとの提携もサッカーリーグとして初めてできた」と話し、長期的視野で関係を構築することの重要性を訴える。

 ブンデスリーガではスタジアムの平均動員率が92%と満員に近い数字を記録する一方で入場料は平均26ユーロ(約4080円)に抑えられ、この分野での収入は頭打ちに近づいている。リーグとして新たな成長因子を探る中で進めてきた施策の一つが異なる大陸への事業展開。ナウベルト氏は「国際的ビジネスを伸ばしていくことが鍵になる」と訴える。

 国境はおろか海を渡り、競技の枠組をも超えて成長の道を模索する。競技レベルやファンを引きつける魅力では、巨額の放映権収入を背景に資金力が豊富なクラブがそろうイングランドのプレミアリーグ、Rマドリードとバルセロナの名門2クラブがリードするスペインのリーガ・エスパリョーラを相手に苦戦するが、マネジメントに関しては勝るとも劣らない。NFL世界展開のニュースを目にして、あらためてブンデスリーガの優れた取り組みが頭に浮かんだ。(記者コラム・東 信人)

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