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槙野智章 真摯で緻密な姿勢物語る「監督ノート」

[ 2022年12月25日 04:45 ]

浦和時代の槙野
Photo By スポニチ

 【記者フリートーク】今も鮮明に覚えている。17年ACLの準決勝。当時浦和の槙野は上海上港の元ブラジル代表FWフッキを完全に止めた。映像を目に焼き付け、数ミリの寄せでヘッドダウンする癖を見抜き、自由を奪った。派手な言動で誤解を受けることも多いが、サッカーに対して常に真摯(しんし)で緻密だった。

 私生活の妥協はピッチ上の甘えになるという信念を持っていた。遠征先でも宿泊した部屋はチェックイン前のように整っている。お礼の手紙も添える。前回W杯から、使用後の日本代表ロッカーにゴミ一つ落ちていないことが世界で称賛されている。きっかけは槙野だった。

 そんな槙野の弱気を感じたのは1度だけだ。昨年11月中旬の電話。「契約満了になりました」。初めて聞く沈んだ声に、返す言葉がなかった。浦和以外で戦う姿を想像できないと本気で引退も考え、毎日泣いていた。10年間、浦和のため、声帯ポリープができるまで声を出し、虫垂炎を隠して試合に出たことも。熱い男だった。

 あれから1年。W杯の解説ぶりもさすがだったが、やっぱり戦う姿が一番。知ってますよ。指導を受けた歴代監督の練習法から発言まで「監督ノート」にメモしていることを。まずはお疲れさまでした。でも待ってます。再び埼スタに立つ姿を。お祭り男、フォーエバー!(東京本社元サッカー担当・牧野 真治)

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2022年12月25日のニュース