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【スポニチ蹴球部コラムFootひと息】W杯敗退から一夜 堂安が川島が示した日本代表の進むべき道

[ 2022年12月14日 07:00 ]

堂安(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 W杯カタール大会を取材する中で感じていたことがある。10年南ア大会に似ているな、と。本田圭佑が新スターとして台頭し、16強進出の立役者に。長友佑都や岡崎慎司ら08年北京五輪組も新時代の幕開けを感じさせた。今回で言えば堂安律が本田であり、板倉滉や前田大然ら東京五輪組も持ち味を発揮した。

 森保ジャパン26選手中19人がW杯初出場。初戦ドイツ戦では実にスタメン8人がW杯初出場だった。南ア大会もスタメン9人が初戦カメルーン戦で初のW杯ピッチを経験。14年ブラジル大会、18年ロシア大会は既存選手の成長と連係強化がポイントだった。安心感があった分、新鮮味は薄かった。だからフレッシュな顔ぶれが居並ぶ今大会は、今までとは違った刺激と興奮、そして不安があった。

 結果を残したことで「俺たちのサッカー」に戻るのではないか―。

 堅守を武器にして16強に入った南ア大会後、日本サッカーは本田を中心にした主導権を握る攻撃サッカーを志した。180度の転換。そしてブラジル大会で惨敗してしまった。今回も16強。しかもドイツやスペインを破っての1次リーグ突破だ。3カ国共催となる26年W杯へ向けて、選手はどんな反応を見せるだろう。PK戦の末に敗れたクロアチア戦後の一夜明け取材。どうしても聞きたかった。

 だが堂安は、川島永嗣は良い意味で期待を裏切ってくれた。堂安は南ア大会後からブラジル大会までの4年間について経験者から話をしてもらったと明かし「この大会での粘り強い守備とか、できた部分はベースとして持っていなければならない。そのベースを持ちながら理想を追い求めるのがいい」と口にした。川島は「ボールを握るサッカーを目指しつつも、相手の状況に応じて必要なスタイルを取ったのが今大会。それを遂行できるチームで12年前とは違います」と語気を強めた。

 志は12年前と一緒。ただ理想からアプローチするのと、現実を一つずつ積み上げていきながら理想へ近づくのでは意味合いが違う。

 日本サッカー協会は中間目標として2030年にはベスト4に入ることを掲げている。次なる4年間は、土台をより強固にする4年間だ。時計の針は逆行しない。進む。進んでいる。日本サッカーの成長が、垣間見られた敗戦一夜明けだった。(飯間 健)

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2022年12月14日のニュース