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甲府、下剋上!天皇杯初戴冠 最後は広島にPK戦勝ちでジャイキリJ1勢5連破 来季J2からACL挑戦

[ 2022年10月17日 04:30 ]

第102回天皇杯決勝   甲府1―1(PK5―4)広島 ( 2022年10月16日    日産ス )

<甲府・広島>天皇杯を制した甲府イレブン(撮影・小海途 良幹)
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 J2甲府が初タイトルを手にした。J1広島と延長を終えて1―1で突入したPK戦を5―4で撃破。J2勢としては91回大会のFC東京以来の優勝で、J2がJ1を下しての優勝は大会史上初の快挙となった。前半26分にコーナーキックからFW三平和司(34)が先制点。後半39分に同点に追い付かれたが、延長後半のPKをGK河田晃兵(35)が止めるなどチーム一丸でタイトルを勝ち取り、来季アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権をつかんだ。

 戦国時代の名将・武田信玄もなしえなかった天下統一。旗印「風林火山」にちなみ、風と林のフランス語を組み合わせた造語を冠した地方の小さなクラブが、J1を5連続撃破という荒業で快挙をやってのけた。

 120分の死闘の先に待っていたPK戦。初優勝を決める5人目のキッカーは、延長後半にPKで敗退のピンチを招いた在籍20年目の42歳、DF山本だった。GK河田のビッグセーブに救われていた山本は「(河田に)一度救ってもらった命。いま思い返すと怖いけど、あのときは意外と冷静だった」とゴール左上に決め、山梨から駆けつけた観客と歓喜に沸いた。

 「侵略すること火のごとく」を体現するかのように、今大会ではJ1勢を撃破してきた。決勝でも前半26分に準備していたというショートコーナーをFW三平がニアで合わせて値千金のゴールで広島を動揺させた。守ってはGK河田が山のごとく立ちはだかった。PK戦では同点弾を決められたMF川村をストップ。GK河田は「1本しか止められなかったが勝てて良かった」と胸を張った。

 累積欠損金が4億円超でクラブ存続の危機に陥った2000年から22年。地道な存続署名活動から復活し、05年には奇跡のJ1昇格を果たすなど、ジェットコースターのようなクラブ史の一ページに「世界」という章が加わった。未知の領域ともいえるACLの戦いだが、山本は「難しいシーズンになると思うが、サッカーに真摯(しんし)に向き合っていきたい」と心待ちにしていた。

 ▽ヴァンフォーレ甲府 65年に教員のOBチームだった鶴城クラブを前身に甲府クラブが誕生。95年に現在の名称となり、99年からJリーグ参入。06年にJ1初昇格。その後はJ1とJ2を行き来し、17年に3度目の降格が決まった。クラブ名はフランス語の「VENT(風)」と「FORET(林)」を組み合わせた造語。過去には伊東純也や佐々木翔、ハーフナー・マイクらが所属した。

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2022年10月17日のニュース