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日本代表とW杯初戦激突ドイツ 絶対エース不在が悩み 本命はウェルナー 古巣復帰で再起なるか

[ 2022年8月17日 04:30 ]

今季、チェルシーからライプチヒに加入したウェルナー(AP)
Photo By AP

 W杯1次リーグE組で日本と対戦するドイツの不安材料が本格的なストライカーの不在だ。センターFWの主軸で代表通算24得点のティモ・ウェルナー(26)はチェルシーで定位置を確保できず、3季ぶりに古巣ライプチヒへ出戻り移籍。ドイツ1部リーグ復帰初戦となった13日ケルン戦でゴールを決めたが、W杯までに復調しエースとしての信頼を勝ち取ることができるか。

 なりふり構ってはいられない。W杯開幕が約3カ月後に迫る中、ドイツ代表の主軸ウェルナーが出戻り移籍を決めた。過去2季のプレミアリーグで56戦10得点に終わったチェルシーから、16~20年にドイツ1部で127戦78得点を挙げたライプチヒに復帰。発表から4日後の13日にはケルン戦で約25メートルのゴールを決め「最初の試合に満足している。ここから自信を持てるようになる」と息をついた。

 ウェルナーが自信を取り戻してドイツを勢い付けられるか。チームの浮沈を左右する問題だ。74年大会のゲルト・ミュラーや90年大会のクリンスマン、フェラーら世界的なセンターFWを擁してW杯を制してきたが、大会通算得点記録を16に更新して14年大会制覇に貢献したクローゼを最後に系譜は途絶えた。

 快足を生かしたライン裏への抜け出しやカウンターで威力を発揮するウェルナーだが、サイドに流れがちで勝負強さや限られたスペースでの対応力には疑問符が付く。昨夏に就任したフリック監督の下で11戦8得点を挙げたものの、6点は明白な格下が相手。まさかの1次リーグ敗退を喫した18年W杯ロシア大会で3戦不発だったストライカーに地元メディアで不安や批判の声は絶えない。2番手候補のハーバーツ(チェルシー)も適性はトップ下で、代表経験がない34歳のテローデ(シャルケ)さえ候補に挙がるなど層も薄い。

 減俸を受け入れてまで現状打破に動いたウェルナーにとって、まずはチェルシーで不十分だった出場機会を確保し、自他ともに納得できるパフォーマンスを取り戻すことが重要だ。「W杯に向けて最適な準備をしたい」と訴え、移籍を相談されていたフリック監督も「国際的ストライカーとして成熟したライプチヒで、欧州チャンピオンズリーグに出場して最高の選手を相手に力を測ることができる」と決断を歓迎する。

 一方でウェルナーのライプチヒ復帰は、ドイツ組が多い日の丸戦士にとってW杯前に悩める敵国エースの現状を体感できる絶好の機会。DF板倉が所属する9月17日のボルシアMG戦など、森保ジャパンにとっては貴重な試金石になりそうだ。

 ≪麻也同僚の34歳、1メートル92テローデが“大穴”≫サプライズ招集の可能性が報じられているのが34歳テローデだ。昨季30戦30得点の決定力でシャルケをドイツ2部優勝に導き、2部4度目の得点王を獲得。代表未経験も「もちろん大きな夢。フリック監督が前線で得点を決めるFWが必要という結論に至って、僕を考慮に入れてくれるのなら準備はできているよ」と打ち明ける。

 身長1メートル92でポストプレーに優れ、DFを引きつけて周囲も生かすすべもある。幼い頃からセンターFW一筋で「動きが染みついている。予測が大事。正しい位置取りで決定的な瞬間にそこにいないと」と話す。9クラブを渡り歩いた苦労人。1部に昇格した今季開幕2戦は不発ながら、フリック監督が「1部でいいパフォーマンスを見せてゴールを決めれば(代表の)扉は開いている」と話す中、残り3カ月で猛アピールを狙う。

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2022年8月17日のニュース