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鹿島の長編ドキュメンタリーが完結 J加盟「99・9999%無理」だったチームの30年史は必見

[ 2022年4月20日 16:00 ]

鹿島で活躍したジーコ
Photo By スポニチ

 J1鹿島が初の長編ドキュメンタリーとして公開した「FOOTBALL DREAM 鹿島アントラーズの栄光と苦悩」(全8話、U―NEXTで配信)がこのほど完結した。

 ドキュメンタリーは、鹿島の前身にあたる住友金属時代から始まり、神様・ジーコが文字通りのプロチームを作り上げた過程や最近の“低迷期”まで、普段メディアが入ることのできないロッカールームや契約交渉といった禁断映像まで余すところなく映像化されていた。鹿島サポーターに刺さることはもちろん、Jリーグ史という視点からもサッカーファン一見の価値がある良作だった。

 個人的にはクラブ創生期を描いた「エピソード1 神の導き」を最も興味深く視聴した。住金時代のジーコの貴重な映像は初めて見たものもあったし、ジーコがチームのアマチュア思考を一新させた“伝説”のイタリア合宿のシーンはサッカーだけではなく、実生活でも大切なことだと気付かされた。そういう先人たちの奮闘、苦闘があって鹿島の土台が築かれた。若いサポーターは“必修”だろうし、オールドファンも“復習”にはオススメのエピソードだ。

 今季の鹿島は6年ぶりの国内タイトル奪回に向けて、クラブで初めて欧州出身のレネ・ヴァイラー監督に舵取りを託した。サッカーのスタイルも縦に速い戦い方にシフトした。ただ、チームに脈々と流れる「献身・誠実・尊重」というジーコ・イズムは健在。約2年半ぶりにチーム復帰したFW鈴木優磨が体現し、チームを上位へ引っ張り上げた。

 その文脈を知る上でも、ドキュメンタリーを見ることで、鹿島のサッカーをより一段深く見ることができると思う。選手の質、戦術だけではない、「なぜ鹿島は強いのか」。その疑問に答える作品に仕上がっている。(記者コラム・河西 崇)

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2022年4月20日のニュース