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横浜FC 琉球下し無敗で首位キープ リーグ戦で約3年ぶり複数得点の伊藤「いい波に乗っている」 

[ 2022年4月3日 19:23 ]

横浜FCのFW伊藤翔
Photo By スポニチ

 明治安田生命J2リーグは各地で3日に11試合が行われ、首位の横浜FCはホームで琉球を3―1で下し、3連勝で勝ち点を22に伸ばした。

 得点ランク首位のFW小川航基(24)が前半5分に3試合連続ゴールを決めると、FW伊藤翔(33)が同10分、同20分に2得点。伊藤の公式戦での複数得点は鹿島時代の20年8月5日ルヴァン杯・川崎F戦以来約1年8カ月ぶり、リーグ戦に限れば同じく鹿島時代の19年3月17日鹿島戦以来、約3年ぶりとなった。

 ベテランの技術が詰まったゴールだった。伊藤の1点目は、右サイドのMF山下諒也(24)のグラウンダーのクロスから。味方がスルーすると、ファーサイドからダイレクトで右足を合わせ、GKの左を射貫いた。「前の選手が自分のところに届くように、いい形でボールが行くようにスルーしてくれた。あとはもう、この劣悪なピッチの中でしたけど技術を出すだけでした」。飛びあがって拳を握った。

 勢いは止まらない。同20分には山下の右クロスを相手DFが頭でクリアした落下点に入り、「ミートだけ考えて気持ち良く振り抜けた」と左足ボレーで豪快に今季4点目。両手を真横に広げて喜びに浸った。これで勝負が決まった。6分後に失点したが、3連戦を3連勝で終えて首位を維持。「100点の試合は難しいけど、それに近づけるために勝って反省できるのは非常にいい。優勝や昇格のために序盤で勝ち点を落とさないことは絶対に必要」とうなずいた。

 昨季、J2松本(現J3)に期限付き移籍した。この半年間が、自身の心と体を変える転機となった。「メンタル的なところもフィジカル的なところも、サッカーに向かうような形を作ってくれた」と話す。

 葛藤の詳しい内容は秘めたが、「毎週毎週試合をやるにあたって、もちろん体の準備とか走るとか筋トレするとかいろんな細かい作業はあるんですけど、いまいち乗ってこないというか。100%出そうとは思っているんだけど、なんか100%出ないなというモヤモヤの中で、一回環境を変えさせてもらったことで、なるほどな、という気づきがあった」と回想。「いちサッカー選手としてあなたはどうしていくんですか?という自問自答をできたのは凄い良かった」と表情を和らげた。

 松本の指揮官は元日本代表MFの名波浩監督(49)。「もちろん名波さんの存在は大きかったですし、名波さんから声をかけてもらってなかったら行っていなかったと思う」とその出会いにも感謝した。

 横浜FCに復帰して開幕を迎えた今季は、今シーズンから指揮を執る四方田修平監督(49)の下で、開幕から全試合(うち先発は4試合)に出場。J1クラスの戦力を誇る激戦区の前線で好調を維持している。「監督のやりたいサッカーがはっきりしているというのは選手たちにとってはやりやすいし、次にどうしようかという迷いが生まれにくい」。チームの攻撃の歯車がかみ合う理由を分析し、自身についても「コンディションも悪くないですし、いろんなことが重なっていい波に乗っている」と話す。

 シャドーの位置で伊藤を起用する四方田監督は「周りを引き立てるのがうまいので、典型的なストライカーというよりはああいう役割は結構合っているなと改めて感じている」とし、「(ボールを)受けられるし、シュートまで打てて(得点を)取れる、守備もする。そういう万能型のストライカーとして非常にいい役割を果たしてくれている」と高く評価する。

 07年に中京大中京高からJリーグを経由せずにグルノーブルでプロとなり、清水、横浜、鹿島を経て、横浜FCに加わった。今年でプロ生活は16年目。経験値豊富な33歳は、チームが好調なときはもちろんのこと、低迷したときこそ経験値が生きることを知っている。J1復帰に向け、この日改めて「優勝や昇格を達成しないとベテラン選手たちのいる価値はあんまりないと思うので、そこにフォーカスしていきたい」とピッチ内外で力になることを誓った。

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2022年4月3日のニュース