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【天皇杯分析・川本治氏】ゲームプランが崩れても動じることなく“次の手”で勝ち越した好采配

[ 2021年12月19日 18:15 ]

<天皇杯決勝 浦和・大分>後半アディショナルタイム、浦和・槙野(右から6人目)がゴールを決める(撮影・西海健太郎)
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 トーナメントのだいご味にあふれた展開だった。セットプレーから柴戸のミドルシュートを頭でコースを変えて決めた槙野の決勝点は、瞬時に反応したたもので技術の高さを示した。

 浦和は大分に長所を消されながらも、早い時間に先制できたために落ち着いていた。パスをつなぎ、バランス良く攻めて、試合の流れをつかんでいた。終盤に1―0で逃げ切ろうと、槙野を入れて守備の人数を増やしたが、それでも追いつかれた後は、セットプレーから点を取りに行く“次の手”で勝ち越した。ゲームプランが崩れても動じることなく戦えたところはロドリゲス監督の見事な采配だろう。

 準決勝でも宇賀神が活躍したように、今季限りで退団する選手をうまく使ってチームのモチベーションを上げるところも見事だった。来季はぐっと若返るが、岩波、明本、柴戸、関根、小泉、江坂らいい選手がそろっている。ユンカーが完全に復活すれば、優勝争いに絡めると思う。

 大分も選手が少ない中でよく戦った。準決勝の川崎F戦もこの試合も終盤まで諦めずに戦ってドラマを演出し、この大会の主役になった。来季はJ2だが、この経験はチームとしても生きるだろう。(元ジェフ市原強化部長)

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