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スポニチが結んだアルゼンチンとの縁

[ 2021年8月30日 13:36 ]

サッカー留学を終えて帰国した桜井孝司(左)、深沢仁博(中央)、根引謙介(1997年撮影)
Photo By スポニチ

 【大西純一の真相・深層】高校サッカー選手権の地方大会が本格化する。今年注目しているのは、千葉県の日体大柏だ。今春就任した根引謙介監督(43)は柏レイソルの下部組織出身で、柏でプロとなった1年目の96年夏から約1年間、アルゼンチンのインディペンディエンテに所属、帰国後はDFとして柏や仙台で活躍し、06年限りで現役引退して指導者になった。

 アルゼンチンに留学したのはJリーグが開幕して間もない95年から4年間、スポニチが企画した「スポニチJリーグ・アルゼンチン留学制度」を利用したものだった。スポニチ・ブエノスアイレス支局が窓口となり、リバープレートやヒムナシア、インディペンディエンテなどに若手Jリーガーを派遣する当時としては画期的な仕組みだった。

 根引監督は「ものすごい刺激で、当時の日々のことはいまでも思い出す」と18歳で単身飛び込んだアルゼンチンでのことを振り返る。言葉も分からない中でチャレンジ。「もっと思い切ってやれていたら」という悔いもあるが、このときの経験がその後の支えとなった。

 指導者になって16年目、小学生から高校生まであらゆるカテゴリーを指導、17年にはダノンカップで柏のU-12を率いて全国優勝、米国で開催された世界大会にも出場した。

 「いろいろなカテゴリーを経験し、勉強になっている。高校生には、うまくなるためにはチャレンジすることだと教えている。自分の得意なものを伸ばすにはチャレンジしないと。リフティングも最初はミスをするが、何回もやってできるようになる」

 高校サッカー部の監督は初めてだが、「日々勉強の毎日です。サッカーはいろいろなスタイルがあるが、うちは攻撃的にいって、ボールを大事にしたい。個人の特徴がピッチで出るように意識している」

 10月16、17日から千葉県大会のトーナメントが始まる。日体大柏は今夏、「パワーワークトラスト・サッカーフェスティバル」を創設し、鹿児島実や長崎総科大付、静岡学園、帝京長岡などが参加した。地元の出版、ポータルサイト運営会社の株式会社WINNERSなどがスポンサーとなって実現。根引監督は「我々の趣旨に賛同してくれて、全国レベルのチームと強化試合ができた。いい刺激になる」と、関係者に感謝する。

 新たなチャレンジ。「いまの子は海外でやることも考えている。指導者になって、欧州に何度も行って勉強しているが、南米も知っているので、それを選手にいろいろと伝えられる。南米の選手はこんなことを考えているとか、こんなことをやるとか伝えられる」と、根引監督は自らの経験をベースに、高校サッカーに新しい風を吹き込んでいく。

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2021年8月30日のニュース